改訂新版 世界大百科事典 「目やに」の意味・わかりやすい解説
目やに (めやに)
eye discharge
眼脂ともいう。眼の分泌物から水分が乾燥して,まぶた(眼瞼)の縁,まつ毛についたものをいう。まぶたの裏の結膜で囲まれた部分を結膜囊というが,ここに分泌されるものには,主涙腺および副涙腺からの涙液,瞼板腺(マイボーム腺ともいう)および瞼縁の皮脂腺からの油性液,そして結膜の杯細胞からのムチンがある。これら液体は,いずれも角膜や結膜を潤し滑らかに保つために重要である。結膜囊に分泌されたこれらの液体の大部分は,涙点,涙小管から鼻腔へ排出されるが,約25%は露出した角結膜の表面から蒸発する。涙小管に流れずに蒸発で取り残された固形成分は,まぶたの縁やまつ毛に付着する。これが目やにとなる。その性状は液体に近いものから固体のものまでさまざまである。正常な場合は,目やには起床時に少々つく程度であるが,病的状態となると増加し,外眼疾患の一つの指標となる。涙液には抗菌作用をもつリゾチームが含まれていて,結膜の炎症などに際しては涙液分泌が多くなり,これに伴い目やにも増加する。また瞼板腺,皮脂腺の炎症でも目やには増加する。さらに治療に用いる点眼剤軟膏も目やに増加の原因となる。
→涙
執筆者:佐藤 孜
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報