直し(読み)ナオシ

デジタル大辞泉 「直し」の意味・読み・例文・類語

なおし〔なほし〕【直し】

ゆがみや誤りなどを正しくすること。また、こわれたものを、もとどおりにすること。「カメラ直しに出す」
器物修理をする職種。また、その人。「錠前直し
直し酒」の略。
「―を一杯ごちそうになるか」〈志賀暗夜行路
直し味醂みりん」の略。
色直し」の略。
江戸時代遊里で、客がさらに時間を延長して遊ぶこと。ふつう「お直し」の形で用いる。
[類語]改修繕う修繕修理修復修正手直し手入れ直す

なお・し〔なほし〕【直し】

[形ク]《「なお(直)」の形容詞化
まっすぐである。ゆがんでいない。
「この国は―・く日の出づるかたに向けり」〈景行紀〉
素直である。正直である。
「―・き誠の心を以ちて」〈続紀・文武〉
尋常である。普通である。
「目も鼻も―・しと覚ゆるは、心のなしにやあらむ」〈総角
平らである。
荒畠あらばたけといふものの、土うるはしうも―・からぬ」〈・一四四〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「直し」の意味・読み・例文・類語

なお‐・しなほ‥【直】

  1. 〘 形容詞ク活用 〙
  2. 物がまっすぐであるさま。
    1. [初出の実例]「世尊の鼻は高く長くしてまた直(ナホシ)」(出典:彌勒上生経賛平安初期点(850頃))
  3. 整って乱れていないさま。端整なさま。
    1. [初出の実例]「世尊の容儀は洪きに満ちて端直となほし」(出典:彌勒上生経賛平安初期点(850頃))
  4. 心、性格など事柄がゆがんでなく正常であるさま。公明である、正直であるさま。
    1. [初出の実例]「明き浄き直(なほキ)誠の心を以ちて」(出典:続日本紀‐文武元年(697)八月一七日・宣命)

直しの補助注記

( 1 )和文系の資料には「なおなおし」の方が多く見られる。
( 2 )シク活用の例も見られる。→なおし(直)〔形シク〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

飲み物がわかる辞典 「直し」の解説

なおし【直し】


➀「なおしみりん」の略。⇒なおしみりん
➁「なおし酒」の略。⇒なおし酒

出典 講談社飲み物がわかる辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の直しの言及

【柝】より

… 歌舞伎では,時間・物事の節目を示し,〈知らせ〉〈きっかけ〉〈ツナギ〉の用法がある。知らせは,全俳優の楽屋到着を知らせる鳴物〈着到(ちやくとう)〉の最後に打つ〈着到止め〉に始まり,舞台を飾り終わった開幕10分前に3階楽屋への上り口で二つ打つ〈二丁〉,開幕前に役者の集合を促すための〈廻り〉(頭取部屋,囃子部屋,小道具部屋,大道具部屋,以前は3階,2階の楽屋をも回って打った),舞台と役者を点検してチョンチョンと柝を打って開幕合図をする〈直し〉,鳴物に合わせて柝を刻んで幕を明け,明けきると〈止め柝〉で芝居にかかる。柝はまた,舞台効果の一翼をになう。…

※「直し」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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