繕う(読み)ツクロウ

デジタル大辞泉 「繕う」の意味・読み・例文・類語

つくろ・う〔つくろふ〕【繕う】

[動ワ五(ハ四)]《動詞「つく(作)る」の未然形に反復継続の助動詞「ふ」の付いた「つくらふ」の音変化》
衣服などの破れ損じたところや物の壊れた箇所を直す。補修する。「ほころびを―・う」「垣根を―・う」
乱れた身なりなどを整える。整え装う。「髪を―・う」
外・はたから見た感じがいいように、体裁をよくする。「世間体せけんていを―・う」
ぐあいの悪いことや過失を隠して、うまくその場をとりなす。「その場をなんとか―・ってごまかす」
病気手当てをする。
「御風邪よく―・はせ給へ」〈浮舟
[可能]つくろえる
[類語](1直す修繕修理修復改修修正手直し直し手入れ/(4体良く空空しい白白しいわざとらしい心にもない受け流す取り繕う猫をかぶる見せかけ表面的

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「繕う」の意味・読み・例文・類語

つくろ・うつくろふ【繕】

  1. 〘 他動詞 ワ行五(ハ四) 〙 ( 動詞「つくる(作)」の未然形に接尾語「ふ」のついた「つくらふ」の変化した語 )
  2. [ 一 ] こわれたり、いたんだりしたものをつくり直して、もとの状態にもどす。
    1. 破損したところを修理する。修復する。
      1. [初出の実例]「城柵(しき)を繕修(ツクロヒ)山川を断(た)ち塞(ふた)く兆(きさし)なり」(出典日本書紀(720)斉明四年是歳(北野本訓))
      2. 「家なるはそこなひ候て、つくろはせに外へ出し侍るにつき」(出典:随筆・孔雀楼筆記(1768)二)
    2. いたんだ体を治療する。体の回復をはかる。
      1. [初出の実例]「身にあしきかさいでつくろへどもやまざりき」(出典:観智院本三宝絵(984)下)
      2. 「御風よくつくろはせ給へ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)浮舟)
  3. [ 二 ] 不十分で整っていないものに取捨の手を加えて、よりよい状態にする。
    1. 手を加えて見た目をよくする。手入れする。飾りたてる。化粧する。めかす。
      1. [初出の実例]「天下の麗人(かほよき)は吾が婦に若くは莫し〈略〉鉛花(いろ)も御(ツクロハ)ず、蘭沢も加(そ)ふること無し」(出典:日本書紀(720)雄略七年是歳(前田本訓))
      2. 「行幸も近うなりぬれば、殿の内をよろづにつくろひ磨かせ給」(出典:栄花物語(1028‐92頃)初花)
    2. あれこれ気をくばり欠けるところがないようにする。体裁をととのえる。きよめる。補いととのえる。準備する。設定する。
      1. [初出の実例]「兵を百済の家に繕(ツクロヒ)て南の門より出づ」(出典:日本書紀(720)天武元年六月(北野本訓))
    3. 人聞きのよいよう、また、破綻のないようにことばをかざったり、うまくふるまったり、とりなしたりする。
      1. [初出の実例]「若き人々は、ただ言ひにくみ、見苦しき事になん、つくろはず言ふ」(出典:能因本枕(10C終)五七)

つくら・うつくらふ【繕】

  1. 〘 他動詞 ハ行四段活用 〙つくろう(繕)
    1. [初出の実例]「詞をつくらひ、やさしくせむとする人は、精進をいもいといひ」(出典:俳諧・葛の松原(1692))
    2. 「人目繕(ツクラ)ふ真面(まじめ)挨拶」(出典:人情本・閑情末摘花(1839‐41)初)

つた・うつたふ【繕】

  1. 〘 他動詞 ハ行四段活用 〙 療治する。手当てする。
    1. [初出の実例]「かくて月ごろよくつたへば、やうやう躍りありく」(出典:宇治拾遺物語(1221頃)三)

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