相馬野馬追(読み)そうまのまおい

知恵蔵 「相馬野馬追」の解説

相馬野馬追

福島県北東部の相馬3社(中村神社、太田神社小高神社)の合同例祭に合わせて行われる行事。宇多郷(相馬市)、北郷、中ノ郷、小高郷(南相馬市)、標葉郷(双葉郡)の相双地方の5郷と呼ばれる地域一帯から、500騎余りの甲冑(かっちゅう)姿の騎馬武者が集まり、馬を走らせ競い合う勇壮な祭り。1978年、国の重要無形民俗文化財に指定された。
起源は千年以上も前、明治維新までこの地を治めてきた相馬氏の祖とされる平将門が、野馬を敵に見立てて軍事演習を行ったことに始まるという。古くは5月の申の日に行われていたといい、何度か廃絶の危機や日程変更を伴いながら現在まで続いている。近年は7月23~25日に行われてきたが、2011年から7月最終の土、日、月曜開催に変更された。
1日目の宵祭りは、3社に集合した武者が出陣式の後、祭場地に向かい、古式馬具をつけて「宵乗り」と呼ばれる競馬を行う。2日目の本祭りは、装飾された馬に甲冑姿で乗る騎馬武者が隊列を組んで祭場地に向かう「お行列」で始まる。続いて、兜(かぶと)を脱いだ騎馬武者が旗指物をなびかせながら疾走する「甲冑競馬」、打ち上げ花火に仕込んだ神旗を騎馬武者が奪い合う「神旗争奪戦」が繰り広げられる。3日目は、小高神社境内に追い込んだ裸馬素手で捕らえて奉納する「野馬懸(のまがけ)」の神事がある。
11年は、東日本大震災の影響で開催が危ぶまれたが、鎮魂復興シンボルとして一部の行事のみ実施する。相馬3社のうち、小高神社は立ち入り禁止の警戒区域に、太田神社は福島第一原子力発電所から半径20~30キロメートル圏内の緊急時避難準備区域にある。

(原田英美  ライター / 2011年)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「相馬野馬追」の意味・わかりやすい解説

相馬野馬追い
そうまのまおい

福島県相馬市の相馬中村神社,南相馬市原町区の太田神社と小高区の小高神社の 3神社が合同して 7月23~25日に行なう祭り。相馬中村藩主相馬氏祖先とされる平将門が,下総小金原(こがねはら)で放ったウマを敵と見立てて武術訓練したのが始まりと伝えられ,相馬氏の氏神である妙見社の祭りとして行なわれてきた。妙見社は最初南相馬市の太田にあったが,城の移転に伴って小高,中村にも勧請され,3社合同の祭りとなった。江戸時代には 5月の申の日の祭りで,南相馬市の原町区周辺の原野に放牧したウマを追い立てて小高神社の竹矢来(→矢来)に追い込んで素手で捕え,神社に奉納するかたちをとっていた。今日では初日(23日)の宵乗りに 3社の神輿が原町区の雲雀ヶ原に渡御し,馬場浄めと古式の宵乗り競馬が行なわれ,中日(24日)に甲冑武者姿の騎馬がのろしで打ち上げた旗幟を奪い合う神旗争奪戦などがある。最終日(25日)は小高神社に野馬を追い込んで素手で捕える野馬懸(のまがけ)が行なわれる。1978年に国の重要無形民俗文化財に指定された。

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改訂新版 世界大百科事典 「相馬野馬追」の意味・わかりやすい解説

相馬野馬追 (そうまのまおい)

福島県の祭礼行事。福島県南相馬市の旧原町市の太田神社,旧小高(おだか)町の小高神社,相馬市の中村神社(以上の3社を相馬妙見三社と呼ぶ)の相馬野馬追祭の祭礼行事として7月23~25日に行われる。甲冑(かつちゆう)に身を固め,旗指物をなびかせた数百騎の騎馬武者が,打ち揚げられた妙見三社の神旗を奪い合うもので,もとは武士が放牧された野馬を追うものであった。昔,平将門が野馬を敵に見立てて武を練ったのが始まりとか,将門の子孫の相馬氏が,旧領下総(しもうさ)で将門以来行われてきた氏神妙見の野馬追いの祭りを相馬に移封後も引き継いだものとか伝える。旧藩時代は5月の申の日に行われた。明治以降は野馬を追うことを中止し,神旗の争奪に変わった。1日目は妙見三社の神輿が本陣山まで神幸し,古式馬装の宵乗り競馬がある。2日目が野馬追いで,神輿は全騎馬の供奉(ぐぶ)を受け祭場の雲雀(ひばり)ヶ原に神幸し,騎馬武者は《相馬流れ山》をうたい士気を鼓舞して神旗の争奪をする。3日目は小高神社で野馬掛けの神事がある。国の重要無形民俗文化財に指定。
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事典 日本の地域遺産 「相馬野馬追」の解説

相馬野馬追

(福島県相馬市)
美しき日本―いちどは訪れたい日本の観光遺産」指定の地域遺産。

出典 日外アソシエーツ「事典 日本の地域遺産」事典 日本の地域遺産について 情報

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