日本大百科全書(ニッポニカ) 「矢板(市)」の意味・わかりやすい解説
矢板(市)
やいた
栃木県北東部にある市。市域は高原山(たかはらやま)の南斜面とそこから続く塩那(えんな)丘陵へと延びている。1958年(昭和33)市制施行。JR東北本線(宇都宮線)、国道4号、461号が通じ、東北自動車道矢板インターチェンジがある。中世塩谷氏(しおやうじ)の城下町で、中心は南部の現川崎反町(かわさきそりまち)と館ノ川(たてのかわ)だった。近世日光北街道が開かれたが、矢板は間(あい)の宿で、明治初年でも戸数60余の農業集落でしかなかった。現在の中心矢板は、1884年(明治17)の国道4号の開通と、1886年の東北本線の開通とともに開設された矢板駅を中心に、急激に発展した。産業は農業が中心で、稲作、畜産、ハウス栽培が盛ん。木材や特用林産物の生産も盛んである。また、木工業、電気機械工業を中心とする工場が立地している。1993年(平成5)には地方拠点都市地域に指定された。北部は日光国立公園に属し、八方ヶ原(はっぽうがはら)に県民の森がある。木幡神社(きばたじんじゃ)の本殿、楼門、寺山観音寺(てらやまかんのんじ)の木造千手観音像及両脇侍(きょうじ)像、荒井家住宅が国の重要文化財に指定されている。面積170.46平方キロメートル、人口3万1165(2020)。
[櫻井明久]
『『矢板市史』(1981・矢板市)』