知恵出でて大偽あり(読み)チエイデテタイギアリ

デジタル大辞泉 「知恵出でて大偽あり」の意味・読み・例文・類語

知恵ちえでて大偽たいぎあり

《「老子」一八章から》人間が素朴であった昔は、自然のままの生活で平和であったが、時代が下って、人間の知恵が発達すると、人為的な掟が盛んに作られるようになる。

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精選版 日本国語大辞典 「知恵出でて大偽あり」の意味・読み・例文・類語

ちえ【知恵】 出(い)でて=大偽(たいぎ)[=偽(いつわり)]あり

  1. ( 「老子‐一八」の「大道廃有仁義、智慧出有大偽」から出た語。「大偽」は、大いなる人為の意 ) 人間が素朴で清純であった大昔は自然のままに生活して平和であったが、世がくだって法律規則が生まれたのは、人のこざかしい知恵が発達したからである、という意。また、人間の知恵が発達するに従い、うそをついたりだましたりすることが多くなったという意でもいう。
    1. [初出の実例]「ただし、しひて智をもとめ、賢を願ふ人のために言はば、智恵出でては偽あり。才能は煩悩の増長せるなり」(出典:徒然草(1331頃)三八)

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故事成語を知る辞典 「知恵出でて大偽あり」の解説

知恵出でて大偽あり

人々が知恵を持つようになると、それを悪用して重大な偽りが生じる、ということ。

[使用例] 東洋の古にも次のしんげんがある。曰く「出でて大偽あり」と。僕の悲しい信条はこうだ。「真実は嘘によって磨かれ鍛えられる」[原口統三*二十歳のエチュード|1948]

[由来] 「老子―一八」の一節から。この章は、いわゆる逆説を述べた章として有名で、「智慧出でて大偽あり(人々が賢くなると、大きな偽りが生じる)」のほか、「大道廃れて仁義有り(根本的な道徳が廃れると、仁義というような道徳が主張される)」「家庭に不和が生じると、親への孝行心や子どもへの愛が必要とされる」「国家が混乱すると、君主に忠実な家臣が現れる」が列挙されています。

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