産業公害(読み)さんぎょうこうがい

百科事典マイペディア 「産業公害」の意味・わかりやすい解説

産業公害【さんぎょうこうがい】

産業活動に伴い,相当な範囲にわたり発生する大気汚染騒音振動地盤沈下悪臭によって,人の健康や生活環境に生じる被害。典型的な産業公害とされるものには次のようなものがある。1.火力発電所を始めとする大規模な生産工場から排出される窒素酸化物(NO(/x)),硫黄酸化物による大気汚染。2.石油化学コンビナートから排出される各種化学物質,窒素,リンなどによる水質汚濁。3.ハイテク工場で使用される有機溶剤による地下水・土壌汚染。4.精錬所めっき工場から排出される重金属による土壌水質の汚染。5.化学関係の工場から排出される廃酸,廃アルカリ,汚泥の埋立て処分や,プラスチックごみの処分に伴う水質汚濁,大気汚染,悪臭。6.産業活動用の真接噴射式ディーゼル・トラック,ダンプカーから排出される窒素酸化物やディーゼル微粒子(発癌物質を含む)による大気汚染。7.これらの汚染よりもはるかに広範囲に深刻な影響をもたらすものに,原発事故や核燃料廃棄物事故などによる放射性物資の流出放出にともなう放射能汚染があり,チェルノブイリ原発事故福島第一原発事故のような大事故の場合は,数万年に及ぶ放射能による大気汚染や土壌汚染,水質汚染さらには海洋汚染をもたらす。一方,地球規模の環境問題であるオゾン層破壊の主要な原因物質フロンのハイテク産業からの排出や,地球温暖化の主要な原因物質である二酸化炭素が,火力発電所,各種生産工場,産業用大型トラックから排出されていることなども,広い意味の産業公害である。
→関連項目工業用水産業排水生活公害

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「産業公害」の意味・わかりやすい解説

産業公害
さんぎょうこうがい

工場型公害」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内の産業公害の言及

【公害】より


【日本の公害問題の特徴】
 日本は国土が狭く,人口が密集しているので,公害を発生しやすい条件にあるが,とくに戦後の高度成長の過程で,三大都市圏に企業と人口が密集した結果,他国に例を見ない公害の発生を見た。
[事実の隠ぺい]
 高度成長期の公害問題の特徴としては,まず,産業公害が中心で,その中には企業犯罪と呼べるような事件が起こったことをあげることができる。典型例は水俣病である。…

※「産業公害」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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