ニッケル鉄とケイ酸塩鉱物が混合した隕石で,おもなものにパラサイトpallasiteとメソシデライトmesosideriteがある。パラサイトの組織は地球の岩石には見られないもので,地球以外の天体からきたものだと最初に確認されたのがこの隕石である。パラサイトはあめ色をした1cm大のカンラン石の結晶が,すみを接してニッケル鉄中に散らばっているもので,この特異な組織のため,古い時代に落下していたものが後で発見される場合が多く,落下の目撃されたパラサイトはまれである。カンラン石の組成はマグネシウムに富む主グループと,これより少し鉄に富む小グループがある。パラサイトの特異な組織がどうしてできたかについては論議が絶えず,溶融分化してできた小天体の内部でできたとする説,小天体のニッケル鉄核とマントルの境界でできたとする説などがある。メソシデライトはパラサイトよりニッケル鉄の量が少なく,ホワルダイトと呼ばれるエコンドライトにニッケル鉄が分散して混合したような組織をもつ。ケイ酸塩鉱物は斜方輝石,ピジョン輝石,斜長石などよりなるが,熱変成作用によって変化しているものが多い。ホワルダイト母天体に鉄隕石が衝突して混合してできたとする説がある。
これらのほかに,ただ1種のみ知られている石鉄隕石が二つある。シデロファイアsiderophyreにはシュタインバハ隕石が一つあるだけで,ニッケル鉄と輝石およびトリディマイトSiO2がそれぞれ等量混合した粗粒結晶質の岩石である。輝石は2種の相よりなる。ロドラナイトlodraniteはロドラン隕石が一つ知られていただけだが,最近,南極隕石の中に,第2,第3のものが発見された。ニッケル鉄と斜方輝石,カンラン石よりなる粗粒の結晶質岩石である。これらの隕石と他種隕石の関連性は,ロドラナイトを除いてはあまり知られていない。
執筆者:武田 弘
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