斜方晶系に属する輝石の総称で,主要な造岩鉱物の一つである。おもな化学組成は(Mg,Fe2⁺)SiO3で,MgとFe2⁺は0~0.9の間で連続固溶体を形成する。ほかに少量のCa,Al,Ti,Mn,Fe3⁺などを含む。Fe2⁺/(Mg+Fe2⁺)比が0~0.1のものをエンスタタイト,0.1~0.3のものをブロンザイトbronzite(古銅輝石ともいう),0.3~0.5のものをハイパーシンhypersthene(シソ輝石ともいう),0.5~0.7のものをフェロハイパーシンferrohypersthene(鉄シソ輝石ともいう),0.7~0.9のものをユーライトeulite,0.9~1.0のものをフェロシライトferrosilite(鉄ケイ輝石ともいう)と呼んでいるが,最近では0.1~0.9のものを総称してハイパーシンと呼ぶこともある。また,かつては隕石ではブロンザイトとハイパーシンとの境を0.8に置いていたが,最近は誤りやすいのでその分類は用いられない。無色,灰色,黄色,緑~茶褐色の柱状結晶で,モース硬度5~6,比重3.2~4.0。c軸に平行な二つの面((210)と(210))に平行なへき開がよく発達する。玄武岩や安山岩などの火山岩の斑晶や石基,斑レイ岩やセン緑岩などの深成岩,カンラン岩やパイロクシナイトなどの超マフィック岩など広い範囲の岩石に含まれている。また比較的高温の広域変成岩やホルンフェルスのような接触変成岩中にもしばしば産する。さらに月の岩石,コンドライトやエコンドライトなどの隕石中にも含まれ,特にエコンドライトのある種のものでは最も主要な構成鉱物となっている。共存するオージャイトとのMg:Fe:Ca比は両者が共存していた温度の関数として,またAlの量は圧力の指標として有効である。
執筆者:永原 裕子
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…そのようなSiO4よりなる鎖と鎖の間にMg2+,Fe2+,Ca2+その他の陽イオンが入って鎖を互いに結びつけている。輝石には斜方晶系に属する斜方輝石と単斜晶系に属する単斜輝石とがある。
[斜方輝石]
MgSiO3(エンスタタイト)成分とFeSiO3(フェロシライトferrosilite。…
※「斜方輝石」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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