出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
安部公房(こうぼう)の長編小説。1962年(昭和37)新潮社より書下ろし刊行。昆虫採集の旅に出た仁木順平は、強制的に砂の壁の中に閉じ込められ、ある女との生活を強いられる。襲いくる砂と格闘する過酷な日々。やがて彼は、砂になり砂の目で物をみる体験を執拗(しつよう)に続け、新しい自己を発見し自由を獲得する。そのプロセスを寓意(ぐうい)的に追求した秀作。第14回読売文学賞を受賞。1964年、勅使河原宏(てしがはらひろし)(1927―2001)の監督により映画化。英仏をはじめ20数か国で翻訳され、国際的作家としての地位を決定づけた。
[石崎 等]
『『砂の女』(新潮文庫)』
敵を欺くために、自分の身や味方を苦しめてまで行うはかりごと。また、苦しまぎれに考え出した手立て。苦肉の謀はかりごと。「苦肉の策を講じる」...