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砂の女 スナノオンナ

デジタル大辞泉の解説

すなのおんな〔すなのをんな〕【砂の女】

安部公房長編小説昭和37年(1962)刊。同年、第14回読売文学賞小説賞受賞。昆虫採集の旅に出た男が、砂丘地帯に住む女との同棲を強制され、脱出不可能な砂の穴の中で、自己の存在と自由の認識を変換されていく。世界数十か国で翻訳版が出版され、昭和43年(1968)、フランスで最優秀外国文学賞を受賞するなど、海外での評価も高い。昭和39年(1964)、安部自身の脚色勅使河原宏監督により映画化。カンヌ国際映画祭審査員特別賞受賞。

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デジタル大辞泉プラスの解説

砂の女

1964年公開の日本映画。英題《Woman in the Dunes》。監督:勅使河原宏、原作・脚色:安部公房、撮影:瀬川浩、音楽:武満徹、美術:平川透徹、山崎正夫。出演:岡田英次岸田今日子、三井弘次ほか。カンヌ国際映画祭審査員賞受賞。第38回キネマ旬報ベスト・テンの日本映画ベスト・ワン作品。第19回毎日映画コンクール日本映画大賞、監督賞、音楽賞、美術賞受賞。第15回ブルーリボン賞作品賞、監督賞受賞。

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世界大百科事典 第2版の解説

すなのおんな【砂の女】

安部公房(1924‐93)の小説。書下ろし長編として1962年に新潮社から刊行。昆虫採集に出かけた男が砂丘に閉じこめられるが,砂の穴で一人の女とともに生活しながら脱出を試みる。その失敗のはてに溜水装置を発明し,新しい態度で現実と闘いながら生きる決意をする。砂丘の描写,とくに日常生活への砂の支配的な影響力叙述は,人間をとりまく出口のない状況を象徴している。そういうなかで現実の外へ逃げるのではなく,あたえられた条件を克服しながら自己変革をめざす生き方を,砂への主人公の態度を通じて見事に描いた。

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大辞林 第三版の解説

すなのおんな【砂の女】

小説。安部公房作。1962年(昭和37)刊。砂丘地帯の蟻あり地獄のような穴に閉じ込められた主人公の姿を通して、閉塞へいそく状況の中での人間実存の可能性を問う。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

砂の女
すなのおんな

安部公房(こうぼう)の長編小説。1962年(昭和37)新潮社より書下ろし刊行。昆虫採集の旅に出た仁木順平は、強制的に砂の壁の中に閉じ込められ、ある女との生活を強いられる。襲いくる砂と格闘する過酷な日々。やがて彼は、砂になり砂の目で物をみる体験を執拗(しつよう)に続け、新しい自己を発見し自由を獲得する。そのプロセスを寓意(ぐうい)的に追求した秀作。第14回読売文学賞を受賞。64年、勅使河原宏(てしがわらひろし)(1927―2001)の監督により映画化。英仏をはじめ20数か国で翻訳され、国際的作家としての地位を決定づけた。[石崎 等]
『『砂の女』(新潮文庫)』

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