(読み)ミギリ

デジタル大辞泉 「砌」の意味・読み・例文・類語

み‐ぎり【×砌】

《「水限みぎり」の意で、雨滴の落ちるきわ、また、そこを限るところからという》
時節。おり。ころ。「暑さの御身お大事に」「幼少の
軒下階下石畳
「―にこけむしたり」〈宇治拾遺・一三〉
庭。
「―をめぐる山川も」〈太平記・三九〉
ものごとのとり行われるところ。場所。
「かの所は転妙法輪の跡、仏法長久の―なり」〈盛衰記・三九〉
水ぎわ。水たまり。池。
「―の中の円月を見て」〈性霊集・九〉

み‐ぎん【×砌】

みぎり」の音変化。
「げにありがたき―かな」〈謡・草子洗小町

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「砌」の意味・読み・例文・類語

み‐ぎり【砌】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「水限(みぎり)」の意で、雨滴の落ちるきわ、また、そこを限るところからという )
  2. [ 一 ]
    1. 軒下などの雨滴を受けるために石や敷瓦を敷いた所。
      1. [初出の実例]「九月(ながつき)時雨の秋は 大殿の 砌(みぎり)みみに 露負ひて」(出典:万葉集(8C後)一三・三三二四)
    2. 転じて、庭。また、境界。
      1. [初出の実例]「ももしきの古き跡をば、紫の庭、玉の台、千とせ久しかるべきみきりと、みがきおきたまひ」(出典:千載和歌集(1187)序)
    3. あることの行なわれ、または、あるものの存在する場所。その所。
      1. [初出の実例]「東寺是桓武天皇草創鎮護国家砌也」(出典:東寺百合文書‐い・康和元年(1099)閏九月一一日・明法博士中原範政勘文案)
    4. あることの行なわれる、または存在する時。そのころ。
      1. [初出の実例]「このみきりも、定めて過去の四仏あらはれ給ふらむを」(出典:法華修法一百座聞書抄(1110)三月二七日)
      2. 「法華読誦の砌(ミギリ)には」(出典:太平記(14C後)一一)
  3. [ 二 ] 水辺。水ぎわ。
    1. [初出の実例]「見砌中円月、知普賢之鏡智」(出典:性霊集‐九(1079)高野四至啓白文)

み‐ぎん【砌】

  1. 〘 名詞 〙 「みぎり(砌)」の変化した語。
    1. [初出の実例]「さても山城の国愛宕の郡に平の都を立て置きたまひ、国土安全のみぎんなり」(出典:謡曲・金札(1384頃))

いぬき【砌】

  1. 〘 名詞 〙 階下のいしだたみ。〔新撰字鏡(898‐901頃)〕

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普及版 字通 「砌」の読み・字形・画数・意味


9画

[字音] セイ
[字訓] みぎり・おりから

[説文解字]

[字形] 形声
声符は切(せつ)。〔説文新附〕九下に「階の甃(いしだたみ)なり」とあり、階下のしき瓦を敷いたところをいう。もと切石を敷いたものであろう。

[訓義]
1. みぎり。
2. きざはしの下の、しき瓦を敷いたところ。
3. 階を連ねる石。
4. かさねる、あぶない。
5. 国語で、みぎり、おりからの意に用いる。

[古辞書の訓]
名義抄〕砌 ミギリ・アヤシブ・イシハシ・アヤフシ・イキヌ

[熟語]
・砌下砌階砌塊砌牆砌城砌畳・砌水・砌石・砌台砌塡・砌末砌累
[下接語]
陰砌・画砌・階砌・危砌・玉砌・錦砌・古砌・残砌・甃砌・畳砌・水砌・静砌・雪砌・霜砌・砌・堆砌・台砌・丹砌・破砌・晩砌・文砌・碧砌・瑶砌・流砌

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

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