RONO2(Rはアルキル基).硝酸とアルコールあるいは炭水化物のヒドロキシ基との間に生成する化合物.一般に,アルコールに濃硝酸を反応させるか,ハロゲン化アルキルと硝酸銀の複分解
RI + AgNO3 → RONO2 + AgI
によって得られる.硝酸メチル(CH3NO3(77.04),沸点65 ℃,1.2074,1.3748),および硝酸エチル(C2H5NO3(91.07),沸点87.6 ℃,1.1084,1.3852)がよく知られている.いずれも水に難溶,ほとんどの有機溶剤に易溶.揮発性があり,加熱,衝撃で爆発しやすい.加水分解すると原料のアルコールと硝酸になる.このほか炭化水素と硝酸から得られるもので,グリセリンエステル(三硝酸グリセリン),グリコールエステル(二硝酸グリコール),セルロースエステルなどが知られ,いずれも慣用名としてそれぞれニトログリセリン,ニトログリコール,ニトロセルロースなどとよばれている.爆薬,ロケット燃料などに用いられる.[CAS 598-58-3:硝酸メチル][CAS 625-58-1:硝酸エチル]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
アルコールと硝酸が水1分子を失って縮合した化合物の総称。一般式R-O-NO2。一般に加熱または衝撃により爆発しやすく、第5類危険物に指定されていて、自然発火による事故への注意が必要である。加水分解によりもとのアルコールと硝酸になる。火薬、爆薬、ロケット推進剤などに使われるものが多い。
代表的な一価アルコールの硝酸エステルとしては、硝酸エチルがある。この化合物は液体で、揮発性、爆発性が大きすぎるので爆薬としてはあまり使われない。
グリコール、グリセリン、セルロース、ペンタエリトリトール(ペンタエリスリトール)などの多価アルコールの硝酸エステルは、それぞれニトログリコール、ニトログリセリン、ニトロセルロース、ペンスリットの通称でよばれ、爆薬などの用途をもっている。ニトログリセリンはダイナマイトの火薬として用いられる。このほかに硝酸イソソルビドやニコラジルなどの狭心症特効薬も硝酸エステルである。
[廣田 穰]
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