日本大百科全書(ニッポニカ) 「社会形象」の意味・わかりやすい解説
社会形象
しゃかいけいしょう
soziales Gebilde ドイツ語
ドイツ社会学の用語で、ほぼ集団あるいは社会体系と同義である。すでにジンメルは、社会を人々の相互作用からなると考え、相互作用が形体へと凝縮して客観的な形象、あるいは巨視的な統一体や体系が成立することに注目したが、社会形象そのものを概念的には明確にしていない。これを行ったのは、ジンメルの立場を継承して、関係学としての社会学を提唱したウィーゼである。彼によれば、相互作用は、現実に行われる動的な社会過程と、それが規範化された静的な社会関係とに分けられる。この社会関係がさらに累積し結晶化して客観的な統一体とみなされるに至ったものが社会形象であるとし、社会化と抽象化の程度に注目して、それを群衆と集団と抽象的集合体に分けた。またフライヤーや松本潤一郎は、さらに社会生活の所産である集団表象や文化をさすものとしても、この語を使用している。
[居安 正]