祝女(読み)ノロ

デジタル大辞泉 「祝女」の意味・読み・例文・類語

のろ【祝女】

南西諸島各地集落で、公的祭祀さいしをつかさどる世襲終身の女性神職者。宮古列島八重山列島では「つかさ」という。

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精選版 日本国語大辞典 「祝女」の意味・読み・例文・類語

のろ【祝女】

  1. 〘 名詞 〙 琉球王朝以来の神職の女性。最高の神官、聞得大君(きこえおおぎみ)統率もとに、村落神人を指揮して神事をつかさどる。

はふり‐め【祝女】

  1. 〘 名詞 〙 神に仕える女性。かんなぎ。みこ。

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改訂新版 世界大百科事典 「祝女」の意味・わかりやすい解説

祝女 (のろ)

奄美,沖縄で村落の神人を支配し公的祭祀をつかさどる神女ノロはノロ殿内(どんち)に住み,火の神や御嶽(おたけ)/(うたき)の神の祭祀を通して領内の人々の繁栄や平和を祈る。早く伊波普猷(いはふゆう),柳田国男,折口信夫らが日本の古い宗教形態を示すものとして注目した。ごく古い時代には,その村落の草分けの家の主人が根人(につちゆ),その姉妹が根神(にがみ)として祭祀を主宰していたと考えられる。8,9世紀以降にこのなかから複数の村落を支配する按司(あじ)が出現すると,その姉妹はノロと呼ばれ祭祀を統轄するようになる。さらに地方に割拠する按司を統一して15世紀末に尚王朝が確立すると,首里王府はそれら旧来の組織を利用しながら公的祭祀をつかさどる公儀ノロを任命し,辞令勾玉俸禄などを給して,王国の政治宗教的組織の一部に組み込んだ。各地域のノロの頂点には,国王の姉妹である聞得大君(きこえおおぎみ)が立った。現在ではこのヒエラルヒーは崩壊し,ノロは村落の主要な年中行事の主宰者として機能している。奄美大島にも琉球王朝の支配時代にこの制度が導入され,今日でもそのなごりがみられる。また宮古,八重山地方ではツカサ(司)とよばれる神女がノロに対応する存在とされている。
ゆた
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百科事典マイペディア 「祝女」の意味・わかりやすい解説

祝女【のろ】

のろ

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世界大百科事典(旧版)内の祝女の言及

【沖縄[県]】より

…面積=2266.04km2(全国44位)人口(1995)=127万3440人(全国32位)人口密度(1995)=562人/km2(全国10位)市町村(1997.4)=10市16町27村県庁所在地=那覇市(人口=30万1890人)県花=デイゴ 県木=リュウキュウマツ 県鳥=ノグチゲラ日本の最南西に位置し,沖縄島(本島)ほか160の島々からなる島嶼(とうしよ)県で,そのうち40島が有人島,他は無人島である。…

※「祝女」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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