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神判 しんぱん Ordeal

翻訳|Ordeal

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

神判
しんぱん
Ordeal

神意によって犯罪人を裁く方法で,過酷な肉体的・精神的試練を伴う。原始社会以来世界の各地,各時代に多種多様の形式があり,手段として火,水,焼けた鉄が最も多く用いられたが,神の審判の反映として当事者の心理,良心に訴える点で共通性があった。

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出典|ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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デジタル大辞泉の解説

しん‐ぱん【神判】

ある人が罪を犯したかどうかの判定を、神意によって決定する裁判。古代・中世には広く各国にみられた。日本では探湯(くかたち)がその例。

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世界大百科事典 第2版の解説

しんぱん【神判 ordeal】

世界の古代的社会で普遍的に見られる,超自然的存在に判断をゆだねる裁判の一形態。神裁ともいう。ある者の主張が真実であるか否か,またある者が犯罪にかかわっているか否かを,人智では判断しがたいとき,神意に問い判定する神判は,もともと中世以前のヨーロッパで行われていた裁判方法judicium Deiを指したが,ヨーロッパ世界以外の類似した現象をも広く包括していう。したがって判断の主体はキリスト教の神だけでなく,諸神,諸精霊なども含めた超自然的存在一般にまで拡大することができる。

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大辞林 第三版の解説

しんぱん【神判】

超自然的存在の意志を受けて判定を行う裁判。日本古代の探湯くかたちなどはその例。神明裁判。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

神判
しんぱん
Judicium Deiラテン語
ordeal英語

神などの超自然的権威に訴えて、行為の正邪、ことばの真偽を判定する裁判方法。神意を判定するためのさまざまな手段・方法が世界各地にみられる。普通はその手段自体が現実に物理的被害を与えたり致命的だったりするものが多く、ときには罪の証明がそれ自体罰になるが、単に偶然性に依存しているものもある。次のようなさまざまな神判の方法がヨーロッパの古法において用いられた。
 火神判では赤熱した鉄をつかませたり、裸足で火の上を歩かせたり、また熱湯の中に手を入れさせ火傷の有無を調べた。もし火傷をしていなかったなら無罪とされたのである。聖餐(せいさん)神判では司祭が祈りのことばとともに被告発者の口の中に聖別されたパンを入れた。もしもその人物がそれを飲み込んだなら無罪とされ、吐き出したり途中でひっかかったりしたなら有罪とされた。棺台の神判は殺人の場合に用いられた。殺害された人が棺台の上に置かれ、被告発者がその体に触る。もし死体から血が流れ出たり、口から泡を出したりした場合、または死体の位置が変わったりしたならその人物は有罪とされた。このほかにも決闘で負けたほうが有罪とされたり、くじ引きもまた神判の方法として用いられた。
 インドでもマヌやナラダの古代法典に火神判や水神判とともに次のような方法が記されている。被疑者の体重を2回量り、前後の計量の差異により罪の有無を判定する。毒を飲ませ中毒の有無により判定するなど。中国でも毒蛇や煮えた油を用いた神判があった。またヤギに似た一角の動物が存在し、これが裁判のとき嘘(うそ)をついている者を発見したという。
 古代日本では熱湯に手を入れさせ火傷の有無で罪を判定する盟神探湯(くかたち)があった。これとほぼ同じ方法の湯起請(ゆぎしょう)が室町時代に行われたと記録にある。日本では神判のあるものは江戸時代に入っても行われていた。
 ヨーロッパでは1215年のラテラン公会議で聖職者の神判立会いが禁止され、公的には神判は正当性を失った。これ以後裁判制度の発展とともに神判は徐々に行われなくなる。しかし14世紀から16世紀までヨーロッパに吹き荒れた魔女狩りの嵐(あらし)のなかで神判による試罪法が復活した。魔女であることを証明するさまざまな方法が確立されたが、そのなかでもとくに水神判が用いられた。これは、魔女として告発された者を裸にし、右手の親指を左足の親指に、左手の親指を右足の親指に結び付けて池や川の中に投げ込むのである。水中に沈めば無罪、浮かべば有罪の証拠であるとみなされたが、無罪となることはしばしばそのまま溺死(できし)することであり、浮かんで溺死を免れれば魔女として絞首刑に付されるのである。この試罪法はイングランドでは18世紀に入ってもなお用いられたという。
 アフリカでも妖術(ようじゅつ)者の判定に神判が広く用いられた。たとえばコンゴ民主共和国(旧ザイール)に住む農耕民レレでは、ある樹皮からとった毒が使用された。妖術者として告発された者がこれを飲んで吐き出したら無罪、死んだら有罪とされた。妖術者の嫌疑を受けた者たちはそのたびに毒を飲むのではなく、ある一定の期間を置いてすべての被疑者がいっしょに毒を飲んだという。マラウイ湖北側に住む農耕民ニャキュサでは告発した側と告発された側がともに毒を飲んだ。ここでは双方とも代理の者をたてることができ、吐き出すのがうまい者が代理になったという。こうした試罪法は植民地政府により20世紀初頭には全面的に禁止された。その結果、妖術者が増え、はびこることになったと感じた社会もある。しかし、毒や焼いた鉄などは用いられなくなったが神判の思想は生き続け、たとえば東アフリカの農耕民メルでは現在も、告発した者とされた者が、長老集団の管理する「呪(のろ)いの穴」を用いて互いに他を呪う。虚偽を語った者とその親族が次々に死ぬと信じられているのである。[加藤 泰]

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世界大百科事典内の神判の言及

【毒】より

…両者とも新参者は,それらの毒をみずからの肉体に受け耐えることを要求されるのである。 毒は神判に使われることもある。とくにアフリカの原住民社会にみられ,おもにアカバナノキ(エリスロフュレウム属),カラバル豆(フィゾスティグマ属),ストリクノス属の植物が使われる。…

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