神村(読み)かむら

日本歴史地名大系 「神村」の解説

神村
かむら

[現在地名]甲賀町かみ

櫟野いちいの村の北、そま川の支流大原おおはら川が作る谷の東部に位置。東は鈴鹿山脈高畑たかはた山・那須なすはら山に至り、野洲やす川に注ぐ和田わた川・次郎九郎じろくろ川・唐戸からと川なども当村域から発する。集落は大原谷の東西に細長く広がり、西にしくちなか垣外かいときた酒屋さかや正覚山しようがくやま森東もりひがし大野中おおのなか・野中・深山口みやまぐちなどの垣内に分れ、東の山岳部にも次郎九郎・藤木ふじき滝谷たきだに・唐戸川などの垣内が点在。伝えによると、古くは野中村と称して八軒であったが、諏訪氏が諏訪明神を創建して開拓が進み、神村に改称したという(甲賀郡志)。しかし、村名はかみの村の意からきたと考えられる。奥氏の邸跡があったとされ、応永三一年(一四二四)九月の鈴鹿関山賊交名(甲賀郡志)に「大原奥被官人七郎同子」とみえる。


神村
かむら

[現在地名]福山市神村町・宮前みやまえ町一―二丁目

赤坂あかさか村の西に位置し、西は本郷ほんごう今津いまづの両村、北は芦田あしだ福田ふくだ村に接する。北部は山地で、村域南部を横断する山陽道沿いに集落がある。小字須江すえに古代の窯跡があり、現熊野くまの町から沼隈郡沼隈町山南さんな地域にかけて多くみられる窯跡とともに、沼隈半島一帯に所在する後期古墳出土の須恵器焼成にかかわるものとされる。

山陽道南の独立丘陵かがみ山に鎮座する今伊勢いまいせ宮は、応永三五年(一四二八)に泉州堺の神主が神意によって伊勢からこの地に遷座したと伝える。


神村
かむら

[現在地名]江津市二宮町神村にのみやちようかむら

北は嘉久志かくし村および和木わき村の飛地である羽代はしろ、西は神主かんぬし村。島の星しまのほし山に源を発する水尻すいじり川が貫流して神主村から日本海に注ぐ。上村とも記される。応永四年(一三九七)四月四日の契約状(仁井屋文書)に村名がみえ、宇屋加うやが村との村境を定めている。もと神主村・飯田いいだ村とともに津野つの村のうちであった。正保四年(一六四七)の古田領郷帳では「都野村ニ入ル」と肩書して上村がみえ、高三〇二石余、免六ツ八歩二朱。


神村
かむら

[現在地名]御調町かみ

徳永とくなが村の東にあり、御調川北岸に位置する。北は高尾たかお村に、南は御調川で大田おおた村・いち村に接する。市村のうちに飛郷僧堂そうどうがある。村のほぼ中央部を南東から北に石見路(赤名越)が通じる。御調川沿いの平坦地には条里制の遺構が認められる。承安元年(一一七一)一二月一二日付の官宣旨案(石清水文書)に「備後神村庄」とみえ、京都石清水いわしみず八幡宮寺の宝塔ほうとう院領一二ヵ所の一であった。


神村
かのむら

[現在地名]八千代市神野かの

しん川南岸に位置し、西対岸は平戸ひらと村、南は米本よなもと村。神野とも記される。中世は臼井うすい星名ほしな郷のうちで、文和二年(一三五三)八月二八日の室町幕府御教書(神田孝平氏旧蔵文書)に「星名郷内神村之半分事」とみえ、神村半分が大屋孫三郎入道に押領されていたため、中村親平の訴えにより下地を親平に引渡すよう千葉氏胤が命じられている。


神村
じんがむら

[現在地名]雄和町神ヶ村

北につなぎ村・新波あらわ村、南に中野俣なかのまた(現由利郡大内町)が隣接。四囲山地に囲まれ、東又ひがしまた西又にしまた折戸おつとの谷間から流れる小流は神ヶ村川となり、北流して陳笠ちんがさ雄物川の支流新波川に合する。陳笠・大橋おおはし・西又・西脇にしわき・折戸に小集落が散在する。逸鳥いつとり峠を経て中野俣村に通じる道(現県道秋田―雄和―本荘線)が村を貫いている。

慶長一七年(一六一二)の由利郡中慶長年中比見出検地帳(由利郡中世史考)大正寺だいしようじ郷の一村として記される。寛永二年(一六二五)の油利之内修理大夫様御知行御検地帳免定之目録写には「神か沢村」とあり、高は六一五石余、免五ツ三分で、大正寺郷では最大の高であった。



かむいたんむら

[現在地名]三石郡三石町字蓬栄ほうえいなど

明治初年(同二年八月から同六年の間)から明治一五年(一八八二)までの村。三石郡の南部、南流する三石川の東岸に位置し、同川を境に西は辺訪べほう村で、南は姨布おばふ村に、東は本桐ほんきり村に、北は幌毛ほろけ村に接する。蓬莱ほうらい山の北東方一帯の地にあたる(明治九年「三石郡行政区画八村図」三石町史など)近世の史料にカモイコタン(カムイコタン)、イマニ(イマニチ)、ウコフシコタン(玉虫「入北記」、「戊午日誌」美登之誌など)とみえる地などからなっていた。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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