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三重県と滋賀県の県境をほぼ南北方向に走る山脈。長さ約55km,平均標高1000m。北は関ヶ原の低地を隔てて伊吹(いぶき)山地に続き,南は加太(かぶと)の鞍部をはさんで布引(ぬのびき)山地に接している。新生代後期に近畿地方でみられた六甲変動によって形成されたもので,それまで広範に広がっていた準平原状の小起伏面が,南北方向の軸をもって順次,波状に隆起してできたと考えられる。山脈が隆起していく過程で,山脈の西側に近江伊賀断層,東側に一志(いちし)断層を伴い,東側は逆断層によってできた急崖となっており,西に緩傾斜した傾動地塊の姿をとる地塁山地である。山頂部にはところどころに過去の平たん面を残しており,最高峰の御池岳(おいけがたけ)(1247m)をはじめ御在所(ございしよ)山(1212m),釈迦ヶ岳(1092m),竜ヶ岳(1099m),霊仙(りようぜん)山(1084m)など定高性を保って並んでいる。地質は古生層の砂岩,チャート,粘板岩,石灰岩よりなるが,南部では花コウ岩類の貫入がみられる。御池岳,藤原岳(1165m),霊仙山などは石灰岩の地層よりなり,山頂の平たん面にはドリーネなどカルスト地形がみられる。藤原岳の東麓には石灰石を原料とするセメント工場がある。
鈴鹿山脈は古来,東西交通の妨げとなってきた。また畿内の防衛の拠点でもあり,古代には山脈の北に不破(ふわ)関,南に鈴鹿関が設けられた。山脈越えの峠も多く,鈴鹿峠は近世,東海道の要所で箱根につぐ難所として知られた。他に鞍掛(くらかけ)峠(791m),石榑(いしぐれ)峠(689m),水沢峠(866m)などがあり,間道として利用された。急崖をなす山脈東斜面には奇岩がみられ,宇賀渓,朝明(あさけ)渓谷,宮妻峡などの渓谷も多く,一帯は鈴鹿国定公園に指定されている。標高700m以上の地帯にはブナの原生林が分布し,山稜付近にはツツジの群落もみられる。中心の御在所山には東麓の湯ノ山温泉からロープウェーが通じ,山頂からは琵琶湖,伊勢湾などを望める。
執筆者:水山 高幸+清水 弘
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
滋賀県と三重県・岐阜県の境界をなす南北約55キロメートル、東西約10キロメートルの山脈。鈴鹿山地、北勢(ほくせい)アルプスともいう。秩父中・古生層の砂岩、凝灰岩が主で、一部花崗(かこう)岩、石灰岩が含まれる。東部の急崖(きゅうがい)に対して西部は緩傾斜の地塁山地であり、このため、東部では短小急流な河川が扇状地を形成、西部では河川流路が長い支谷を通り、野洲(やす)川、日野川、愛知(えち)川、犬上(いぬかみ)川には多目的のダムが建設されている。最高峰は北部の御池岳(おいけがたけ)(1247メートル)で、ほかに御在所(ございしょ)山(1212メートル)、釈迦(しゃか)ヶ岳(1092メートル)、竜ヶ岳(1100メートル)、藤原岳(1120メートル)、鈴ヶ岳(1130メートル)、霊仙(りょうぜん)山(1094メートル)、鎌(かま)ヶ岳(1161メートル)などがある。北部の石灰岩地帯には河内(かわち)や佐目(さめ)の風穴があり「近江(おうみ)カルスト」の名で知られる。また南東部の御在所山付近の花崗岩地帯は巨大な奇岩が多く、藤内壁(とうないへき)などはロッククライミングに利用される。山脈の主要部は鈴鹿国定公園に指定され、山麓(さんろく)の湯の山温泉と山頂を結ぶロープウェーや鈴鹿スカイラインなどを利用した観光客が多い。
[高橋誠一]
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