精選版 日本国語大辞典 「竃」の意味・読み・例文・類語
かま【竈・釜・窯・罐・缶】
- 〘 名詞 〙
- [ 一 ] ( 竈 )
- [ 二 ] ( 釜 )
- ① 飯をたいたり湯をわかしたりする金属製の用具。鍋よりも深く造り、普通は腰につばがある。まろがなえ。はがま。
- [初出の実例]「心も知らぬ人を宿し奉りて、かまばしも引き抜かれなば、いかにすべきぞ」(出典:更級日記(1059頃))
- ② 湯釜と茶釜との総称。湯釜は、銅製か鉄製だが、茶の湯に使う茶釜には、銀・金製などもある。標準形を真形(しんなり)といい、そのほか、茶釜百態といって種々な形のものがある。また、地紋の有無、所蔵者、製作者などによって多くの分類名がある。昔からいわれの深い茶釜のことを名物釜という。〔和漢三才図会(1712)〕
- ③ ( 形が似ているところから ) カタツムリの殻。
- [初出の実例]「雨も風もふかぬは、でざ、かま打わらう」(出典:天理本狂言・蝸牛(室町末‐近世初))
- ④ 臀(しり)、または肛門の異名。転じて、男色をもいう。
- [初出の実例]「門前の茶釜和尚の釜とでき」(出典:雑俳・柳多留‐八八(1825))
- ⑤ ( [ 二 ]①とその形が似ているところから ) 「かまがたぼう(釜形帽)」の略。
- ⑥ ( 「地獄の釜」の略 ) 地獄でそれに入れて罪人を煮るという用具。
- [初出の実例]「飾った鍋を仕廻ふ翌(あ)す釜が明き」(出典:雑俳・柳多留‐五四(1811))
- ① 飯をたいたり湯をわかしたりする金属製の用具。鍋よりも深く造り、普通は腰につばがある。まろがなえ。はがま。
- [ 三 ] ( 窯 ) 陶磁器、ガラスや炭などを焼く装置。物質を高温度に加熱することによって、物質の融解、焼成などを行なう。かまど。また、特色のある陶磁器の生産場をいう。〔工学字彙(1886)〕
- [ 四 ] ( 罐・缶 ) 水などを加熱、蒸発させて高温・高圧の蒸気とする、密閉した鋼板製の容器。蒸気機関を動かしたり、暖房を行なったりするのに用い、構造はその用途により異なる。ボイラー。〔物理学術語和英仏独対訳字書(1888)〕
く‐ど【竈突・竈】
- 〘 名詞 〙
- ① かまどの後方につけた煙出しの穴。〔新撰字鏡(898‐901頃)〕
- [初出の実例]「人の家の竈神のそばへ、別の戸をあけて、煙をいだす所を、くどとなづく」(出典:名語記(1275)五)
- ② かまど。へっつい。
- [初出の実例]「かまどと云はくい物をにる火だぞ。〈略〉いやしい者はへっついと云ぞ。くどとも云ぞ」(出典:詩学大成抄(1558‐70頃)一)
- ③ いろり。炉。
- [初出の実例]「炉を まっこうぶちと云也。くどとも云なり」(出典:随筆・独寝(1724頃)下)
- ④ 携帯できる炉。こんろ。七輪。
- [初出の実例]「茶をわかす小風炉のくどをのせ筆床のふでたて釣する道具ども」(出典:玉塵抄(1563)四四)
- ⑤ 炉の上に設置されている、穀物などの乾燥用の棚。
- [初出の実例]「主は火棚(クド)に首の当らぬやうに炉ばたでと云ふ」(出典:秋山記行(1831)一)