翻訳|third force
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
語源的には米ソに対するヨーロッパの地位確立を目ざす中道路線を意味するが、より一般的には第二次世界大戦後の冷戦状況に抗して米ソいずれの陣営にも属さない非同盟中立主義の諸国をさす。ネルーのインド、ナセルのアラブ連合、スカルノのインドネシアなどのアジア・アフリカ諸国は、1950年代中葉から60年代前半にかけて、独立ナショナリズムの高揚を背景に連帯し、冷戦的緊張の緩和と世界平和の実現を推進する役割を担った。1954年の中印間「平和五原則」や翌55年の第1回「アジア・アフリカ会議」は、これら第三勢力の象徴的成果である。しかし、60年代以後(1)第三勢力内部の利害対立の表面化、(2)いわゆる多極化の進展といった状況変化のため、第三勢力としての結束した行動はしだいに背景に退いていった。70年代中葉に中国が提唱した「第三世界論」は、イデオロギーでなく国力に注目した第三勢力概念の一変種である。
[黒柳米司]
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