(読み)シン

デジタル大辞泉 「箴」の意味・読み・例文・類語

しん【箴】[漢字項目]

[音]シン(呉)(漢) [訓]はり いましめ
縫い針。医療用の針。「箴石
戒める。戒め。「箴警箴言

しん【×箴】

いましめ。いましめの言葉箴言しんげん
漢文文体の一。箴言を記した韻文隔句に韻を押した四言のものが多い。

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精選版 日本国語大辞典 「箴」の意味・読み・例文・類語

しん【箴】

  1. 〘 名詞 〙
  2. はり。縫い針。また、病気治療に用いる石鍼(いしばり)。〔礼記内則
  3. 戒めとなるもの。戒めとなることば。また、その文体。箴言(しんげん)
    1. [初出の実例]「昭明太子曰。箴興於補一レ闕」(出典異制庭訓往来(14C中))
    2. [その他の文献]〔書経‐盤庚・上〕

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普及版 字通 「箴」の読み・字形・画数・意味


15画

[字音] シン
[字訓] はり・いましめ

[説文解字]

[字形] 形声
声符は咸(かん)。鍼(しん)と同声。〔説文〕五上に「衣を綴(ぬ)ふ箴(はり)なり」という。慣用によって、針を縫い針、箴を箴(しんけい)(いましめ)、鍼を鍼灸の字に用いる。鍼(しんへん)のように治療することから、鍼戒の意となるが、箴もその義に通用する。〔三国志、魏、華佗伝〕に、鍼で治療する話が多くみえる。

[訓義]
1. はり、しつけばり、ぬいばり。
2. いしばり、さす。
3. いましめる、いましめ。

[古辞書の訓]
〔新字鏡〕箴 佐須波利(さすはり) 〔名義抄〕箴 イマシム・サス・マサシ・ヲサ・フタ 〔立〕箴 イマシム・タカネ・イササカニ・ヲサ・シタタカナリ・サスハリ 〔字鏡集〕箴 ヲサ・タダス・ヲサフタ・サス・ウカフ・タケチ・イマシム

[語系]
箴・鍼(針)tjimは同声。古くは竹針、のち金針を用いる。針は鍼の俗字である。

[熟語]
箴戒箴誡箴誨箴諫箴規箴訓・箴・箴警・箴言箴功箴誦・箴石箴切箴諷・箴箴補・箴末箴銘箴縷
[下接語]
官箴・規箴・箴・虞箴・献箴・言箴・作箴・世箴・微箴・箴・明箴・良箴

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「箴」の意味・わかりやすい解説


しん

中国の文体の一つ。「いましめことば」の意で、「銘(めい)」と並称される。四言でつづる文体がもっとも多く、三言、五言、七言のものもあり、隔句に韻を踏む。古く夏(か)、殷(いん)、周の三代以来、聖賢の戒めことばとして伝えられる「箴」が、諸古典に散在している。自身を戒めるものを「私箴」、人々の過ちを戒めるものを「官箴」とよび、漢の揚雄(ようゆう)の「五箴」、晋(しん)の張華(ちょうか)の「女史箴」、唐の韓愈(かんゆ)の「遊箴」、柳宗元(りゅうそうげん)の「憂箴」などが名高い。

[杉森正弥]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「箴」の意味・わかりやすい解説


しん
Zhen

中国,文体の一種。人あるいは自己を戒める内容の文。4言の句で隔句に押韻するが,必ずしも一定しない。前漢末の揚雄の『十二州牧箴』,六朝時代晋の張華の『女史箴』などが有名。

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