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精神保健福祉法と入院形態 せいしんほけんふくしほうとにゅういんけいたい

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家庭医学館の解説

せいしんほけんふくしほうとにゅういんけいたい【精神保健福祉法と入院形態】

◎現行法の理念と改正点
 1995(平成7)年5月に精神保健法が、精神保健福祉法(せいしんほけんふくしほう)に改正されました。
 背景には、1993年12月に障害者基本法が成立し、精神障害者が基本法の対象として位置づけられたことがあります。また、これまでの保健医療施策に加え、福祉施策の充実が求められたこと、また、94年7月に地域保健法が成立し、適正な医療の確保や社会復帰の促進などを地域で積極的に推進することが求められたことなどもあります。
 おもな改正点としては、法律の名称に「福祉」が加わり、法律の目的に「自立と社会参加の促進のための援助」が盛り込まれました。
 これを受けて、精神障害者保健福祉手帳(せいしんしょうがいしゃほけんふくしてちょう)の制度が創設され、税金などの優遇措置の対象者が拡大され、事務手続きが簡略化されました。また、生活訓練施設(援護寮)、授産施設、福祉ホーム、福祉工場などの社会復帰施設が法的に整備されることとなり、正しい知識の普及や相談指導などと合わせて、地域での精神障害者の支援を、各自治体がさらに積極的に行なうこととなりました。
◎患者さんの人権
 病気の性質から、患者さん本人が病識(びょうしき)(コラム病識とは」)を欠いてしまい、その意思に反して入院措置を行なったり、患者さんの行動を制限しつつ医療を行なうことなどがあることから、精神医療では、とくに患者さんの人権を擁護することが求められています。
 このため従来から、本人の意思によらない入院や行動制限の判定を行なう者として精神保健指定医を指定し、適正な医療を確保してきました。さらに、この指定医が5年ごとに研修を受けることを促進するなど、人権擁護のための充実がはかられることとなっています。
◎インフォームド・コンセント
 治療を受けるとき、医師から治療のねらいや内容などを十分に聞き、納得して治療を受けることは医療の基本的な前提です。
 精神疾患による病状のために、本人の意思に反して入院治療を受けなければならない場合でも、法律では、入院措置をしたこと、入院中に行動の制限がとられうること、退院請求などをすることができることなどを、文書で後日、本人に知らせなければならないこととなっています。
 精神医療では、その病状のため、病気についての理解、治療についての選択や納得などが得られにくく、インフォームド・コンセントに基づく患者さんの自立がむずかしいことも多いのです。そこで今後、患者さんの人権を擁護しながら、医師と患者さんのよい関係を築いていくために、一層インフォームド・コンセントのあり方を検討し、推進することとしています。
◎入院形態と条件
 精神医療における入院形態には、任意入院、措置(そち)入院、医療保護入院応急入院、仮入院の5種類の形態があり、それぞれ条件が法律で規定されています。
 任意入院は、本人の同意に基づく入院で、退院も本人の意思に基づくものとなっています。人権擁護の観点からも、また、医療を円滑かつ効果的に行なうという観点からも、もっとも基本的な入院形態です。
 措置入院は、入院させなければ自傷他害のおそれのある患者さんに対して、知事または政令指定都市の市長の権限で行なわれる入院です。
 強制的な入院となるため、2名以上の精神保健指定医が、診察の結果、その必要性を認めたときにのみ行なえるものです。ただし、急いで入院治療を行なわなければならない場合には、72時間にかぎって指定医1名の診察による緊急措置入院になることもあります。退院など措置を解除するためには、別途、精神保健指定医の診察が必要となります。
 医療保護入院は、自傷他害のおそれはないが、入院が必要で、しかし、患者さん本人の入院の同意が得られない場合に、保護者、あるいは市町村長の同意により行なわれる入院です。市町村長が同意者となるのは、市町村長以外に保護者がいないか、保護者が保護義務を行なうことができないときにかぎります。これも精神保健指定医の診察が必要です。
 この措置となった場合には、その措置が妥当であったかどうか、その病院からの入院届により精神医療審査会で審査することになっています。知事または政令指定都市の市長は、審査の結果、入院の必要がないとされたとき、退院を命ずることができます。また、医療保護が必要なくなり退院するときなどは、その病院は、知事または政令指定都市の市長に届け出をしなければなりません。
 応急入院は、ただちに入院の必要があっても、本人および保護者の同意が得られないような状況にあるとき、72時間以内にかぎり行なわれるものです。これも精神保健指定医の診察が必要で、厚生労働大臣の定めた基準により指定された病院(応急指定病院)でなければ入院できません。また、その病院はただちにその理由などを、知事または政令指定都市の市長に届けなければなりません。
 仮入院は、精神障害の疑いがあって、その診断に相当の時間や日数を必要とする場合、本人の同意が得られなくても保護者の同意のもとに1週間にかぎり行なわれるものです。これも精神保健指定医の診察が必要です。また、その病院は保護者の同意書を添えて知事または政令指定都市の市長に入院届を提出しなければなりません。
 以上のように、緊急時にも適切な精神医療が受けられるよう医療体制を整備することと合わせて、地域の社会復帰施設などと連携をとりながら、社会復帰・社会参加の環境整備の促進がはかられています。

出典|小学館
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