自分や他人を傷つける恐れがなくても、精神保健指定医1人が必要と判断し、家族らのうち誰かが同意すれば、強制的に入院させることができる制度。精神保健福祉法に定められている。精神科の入院患者約27万人のうち、半分近くを占める。医師1人の裁量で強制入院が広く行われている状況は、先進国では異例。同意する家族の負担の重さも課題になっている。このほか、自傷他害の恐れがある人を指定医2人以上の診断に基づき行政の権限で入院させる「措置入院」、本人の同意に基づく「任意入院」がある。
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出典 共同通信社 共同通信ニュース用語解説共同通信ニュース用語解説について 情報
精神障害者の入院形態の一つ。精神保健福祉法(正式名称「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」、昭和25年法律第123号)で定められている、障害者本人の同意が得られない場合の「保護者」の同意に基づく入院をさし、「同意入院」とよばれてきた。2013年(平成25)6月の同法の改正(2014年4月施行)により、医療保護入院の要件が変更され、「保護者」制度が廃止される。「保護者」には家族がなる場合が多く、精神障害者に治療を受けさせる義務等が課されているが、家族の高齢化等に伴い負担が大きくなっていることなどが廃止の理由で、かわりに「家族等」のうちのいずれかの者の同意を要件とする内容に改正される。「家族等」とは、配偶者、親権者、扶養義務者、後見人または補佐人のことで、該当者がない場合は市区町村長が同意の判断を行う。これに対して2013年5月に日本精神神経学会は、保護者制度の廃止については評価するが、制度をなくしたにもかかわらず、「家族等の同意」を残し、強制入院に関する国家や公権力の責任をあいまいにしたままである点が問題だとする見解を発表した。患者の人権を無視した強制入院が可能となる点や、同意に関する「保護者」のなかでの優先順位もなくなることから、家族や親族の間で入院をめぐる係争が増える可能性もある。なお、認知症の患者も対象となっており、近年はこのケースの医療保護入院も増えている。
精神病院への入院には医療保護入院のほかに、本人の同意に基づく「任意入院」、自傷他害のおそれがある場合に複数の指定医の診察をもとに都道府県知事の権限で強制的に行う「措置入院」、保護者(法改正後は家族等)の同意が得られない状況で、指定医の診察で入院治療が必要と判断された場合に72時間に限り認められる「応急入院」がある。
[編集部]
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