紅皮症(読み)こうひしょう(英語表記)erythroderma

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

紅皮症
こうひしょう
erythroderma

剥脱性皮膚炎ともいう。全身の皮膚が発赤し,粃糠様とか落葉状など,さまざまな落屑をみる状態をいう。しばしばかゆみがあり,脱毛,爪の変形,表在性リンパ節腫脹などを伴う。病変が長期にわたる場合には,色素沈着および皮膚萎縮が認められる。次のように分類される。 (1) 湿疹続発性紅皮症 湿疹,脂漏性皮膚炎アトピー性皮膚炎などを原疾患とするもの。激しいかゆみを伴い,好酸球増加症をみることが多い。 (2) 各種疾患続発性紅皮症 尋常性乾癬扁平苔癬,ドベルジー毛孔性紅色粃糠疹,ヘーブラ疱疹状膿痂疹,ジューリング疱疹状皮膚炎天疱瘡などに続発するもの。 (3) 中毒性紅皮症 ウイルス性疾患時の汎発性発疹,猩紅熱,術後紅皮症,紅皮症型薬疹などがこれに該当する。 (4) ライネル落屑性紅皮症 頭部の脂漏性皮膚炎として初発し,下降性に全身に広がる。乳児だけにみられる。 (5) 腫瘍性紅皮症 白血病性紅皮症,細網症性紅皮症ともいう。菌状息肉症,ホジキン病,細網症,白血病などに続発するもの。

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大辞林 第三版の解説

こうひしょう【紅皮症】

全身の皮膚が紅くなり、それが長期間続く状態。皮膚はうろこのような外観になりはがれおちる。老人性のもの、皮膚疾患に続発するもの、悪性腫瘍に合併するもの、薬剤によるものなどがある。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

紅皮症
こうひしょう

全身の皮膚が潮紅して落葉状あるいは粃糠(ひこう)(ぬか)様の落屑(らくせつ)を伴った状態。種々の原因によっておこる一種の皮膚反応型の症状。汎発(はんぱつ)化した湿疹(しっしん)とみられる湿疹続発性紅皮症、乾癬(かんせん)などが汎発化した各種皮膚疾患の続発性紅皮症、抗生物質などの薬剤による中毒性紅皮症、自家中毒などによるとみられる落屑性紅皮症、細網内皮系の腫瘍(しゅよう)や白血病にみられる腫瘍性紅皮症が含まれる。[山田 清]

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精選版 日本国語大辞典の解説

こうひ‐しょう ‥シャウ【紅皮症】

〘名〙 全身の皮膚の角質層が一様に紅色になり、小細片となってはがれ落ちる皮膚疾患。急性慢性があり、皮膚の色素が沈着し、肥厚または萎縮、脱毛などの症状を呈する。剥脱性皮膚炎。落葉性皮膚炎。

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六訂版 家庭医学大全科の解説

紅皮症
こうひしょう
Erythroderma
(皮膚の病気)

どんな病気か

 全身の皮膚が潮紅し、落屑(らくせつ)鱗屑(りんせつ)がぼろぼろとはげ落ちる)を伴う皮膚病で、剥脱性(はくだつせい)皮膚炎ともいいます。

原因は何か

 紅皮症は、それぞれ原因の異なる皮膚病に続いて発症します。最も頻度が高いのはアトピー性皮膚炎や高齢者の乾皮症(かんぴしょうせい)湿疹に続いて発症するタイプです。

 このほか、天疱瘡(てんぽうそう)乾癬(かんせん)扁平苔癬(へんぺいたいせん)毛孔性紅色粃糠疹(もうこうせいこうしょくひこうしん)などの各種皮膚病が全身に広がって紅皮症になるタイプ、薬疹などの中毒性紅皮症、薬剤性過敏症症候群、菌状息肉症(きんじょうそくにくしょう)やセザリー症候群などの皮膚の悪性リンパ腫による紅皮症があります。

症状の現れ方

 全身または広範囲の皮膚にびまん性の紅斑がみられ、落屑を伴います(図10)。通常、かゆみがあります。全身症状として発熱、悪寒や震えなどの体温調節障害、リンパ節のはれ、全身の倦怠感(けんたいかん)、体重減少などを伴います。

検査と診断

 どの病気がもとにあって紅皮症を発症したのかを調べる必要があります。皮膚の生検(病気の皮膚を数㎜切り取って調べる病理組織検査)は、もとの病気が何かを知るうえで有用です。

 紅皮症に共通する血液検査所見として白血球数、好酸球数、LDH(乳酸脱水素酵素)がいずれも増加します。また、紅皮症では有棘(ゆうきょく)細胞がんの腫瘍マーカーであるSCCが血液中に増加しますが、がんの心配はありません。

治療の方法

 湿疹・皮膚炎に続発する紅皮症には、副腎皮質(ふくじんひしつ)ステロイド薬の外用と抗ヒスタミン薬の内服が有効です。乾癬に続発する紅皮症にはエトレチナート(チガソン)の内服、PUVAもしくはナローバンドUVB療法(紫外線照射)、高濃度ビタミンD3含有軟膏(ボンアルファハイ軟膏など)の外用が行われます。

 薬疹による紅皮症では原因薬剤を中止し、副腎皮質ステロイド薬の外用、時に内服が行われます。

 内臓障害を併発して死亡することのある薬剤性過敏症症候群では入院治療が必要で、副腎皮質ステロイド薬の内服や全身管理が行われます。

 菌状息肉症などの皮膚悪性リンパ腫による紅皮症では、ナローバンドUVBなどの紫外線療法や電子線照射が行われます。

病気に気づいたらどうする

 皮膚科専門医を受診して、もとの病気を調べ、それに合った治療を受ける必要があります。

末木 博彦


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