納戸方(読み)ナンドカタ

デジタル大辞泉 「納戸方」の意味・読み・例文・類語

なんど‐かた【納戸方】

江戸幕府職名将軍衣服調度管理し、諸侯旗本から献上されたり彼らに賜与されたりする金銀諸物に関する事務管掌御納戸役

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精選版 日本国語大辞典 「納戸方」の意味・読み・例文・類語

なんど‐かた【納戸方】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「なんどがた」とも )
  2. なんどやく(納戸役)
    1. [初出の実例]「それなれば、いと易い事ぢゃ。納戸方(ナンドガタ)へ申し付けう」(出典歌舞伎梅柳若葉加賀染(1819)大詰)
  3. 主家の調度、衣服、贈答品の管理など、奥向きの仕事全般をいう。

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改訂新版 世界大百科事典 「納戸方」の意味・わかりやすい解説

納戸方 (なんどかた)

江戸幕府の職名。将軍手もとの金銀・衣服・調度を管理・出納し,諸大名・旗本らからの献上金銀・諸物,諸大名・旗本らに賜与する金銀・時服などのことを取り扱った。納戸は江戸時代以前は納殿と称し,衣類・諸器具を蔵するところで,出納をつかさどる役人がいたが,職名が定まったのは江戸時代であり,最初は小姓の兼役が過半であった。納戸方の長官を納戸頭といい,1635年(寛永12)初めて2人が置かれた。48年(慶安1)9月に収蔵・購入をつかさどる元方(もとかた)と下賜品を扱う払方(はらいかた)に分かれ4人に増員されたが,1792年(寛政4)閏2月この区別を廃し2人に減員された。若年寄支配,焼火間詰で初め役料が給されたが,1723年(享保8)改めて700石高の職となった。西丸納戸頭は1650年9月世子家綱付の2人が初めて置かれた。納戸頭の下僚は納戸組頭(400俵高,焼火間席)8人,納戸衆(200俵高,焼火間席)24~32人,保管物の警固整理を行う納戸同心(御譜代席,30俵三人扶持~15俵二人扶持)40~60人である。1718年減員,1組4人8組合で32人,組頭8人となった。西丸付の組頭は4人,納戸衆15~16人,同心30人である。なお1650年奥方御用について役方条目が出され,納戸方御用は老中阿部忠秋,松平乗寿の指図するところとなった。

 次に,小納戸は将軍に近侍して将軍身辺の雑務を行うもので,寛永初年にはすでにあり,将軍の理髪・食膳・庭方など日常細務に従事した。御髪月代,御膳番,御庭方,御馬方,御筒方などがあり,頭取,御膳番,奥之番の両掛は奥向きの取締りを行い,表役人と応待するので権威があったが,小姓よりは軽い立場であった。若年寄支配,500石高で1000石以下は役料300俵,500石以下は役高500石,人数は100余人であった。頭取は数人で従五位下,1500石高で役料はない。1639年伊藤正次の小納戸奉行就任が最初で,小納戸衆を支配,奥向きを取り締まり,細工方・納戸方の請取物を調べる。西丸にも小納戸が置かれた。
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