経政(読み)ツネマサ

デジタル大辞泉 「経政」の意味・読み・例文・類語

つねまさ【経政/経正】

謡曲二番目物世阿弥作ともいわれる。仁和寺の行慶僧都が、一ノ谷で戦死した平経正の弔いの管弦講を営むと、経正の霊が現れて琵琶を奏し、修羅道の苦しみを見せる。

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精選版 日本国語大辞典 「経政」の意味・読み・例文・類語

つねまさ【経政・経正】

  1. 謡曲。二番目物。各流。作者未詳。仁和寺御室(おむろ)御所法親王は、寵愛していた平経政が一ノ谷の戦いで討たれたので、僧都行慶に命じて、生前経政に貸し与えた琵琶の名器青山(せいざん)仏前に供えて跡を弔う。すると経政の霊が現われて琵琶を奏し、修羅道の苦しみを再現してみせる。「平家物語」による。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「経政」の意味・わかりやすい解説

経政
つねまさ

能の曲目。二番目物。五流現行曲。宝生(ほうしょう)・金剛(こんごう)流は「経正」と表記。『平家物語』巻七の「経正の都落」による。一ノ谷で戦死した平経正の音楽による追善を、仁和(にんな)寺の僧都(そうず)行慶(ぎょうけい)(ワキ)が執り行う。仁和寺の法親王(ほうしんのう)から音楽の才能を愛された経正は、琵琶(びわ)の名器・青山(せいざん)を下賜されたが、平家の都落ちに際して寺に返還されていた。その琵琶が手向けられる。弔いを感謝して現れた経正の亡霊シテ)は、愛する楽器を懐かしみ演奏するが、修羅道の苦しみが襲いかかり、自分自身のその姿を恥じつつ、闇(やみ)の世界に消えていく。貴公子の可憐(かれん)さと、芸術への心寄せを主題とした、小品ながら修羅能の佳作

増田正造

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