出家した皇族を表す呼称。〈ほっしんのう〉ともいう。古くは古人大兄皇子や大海人皇子の例があるが,平安時代に入ると,平城天皇の皇子高岳(たかおか)親王が,薬子の変により皇太子を廃されて出家し,真如と号したのをはじめ,皇族の出家の例が増加する。出家した親王に対する称呼としては,禅師親王や法師親王などの例があるが,このほかに法親王あるいは入道親王の称がある。通説では,法親王は出家した後親王宣下を受けた親王をいい,入道親王は親王宣下を受けた後に出家した親王をいうとされている。また《初例抄》等によると,入道親王の初例は三条天皇の皇子師明親王で,仁和寺に入って性信入道親王と称し,法親王の初例は白河天皇の皇子で,仁和寺に入った後親王宣下を受けた覚行法親王とされている。しかし同一人を法親王あるいは入道親王と称した例もあり,広く出家した親王の意に用いられた場合も少なくない。
執筆者:柳 雄太郎
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「ほっしんのう」とも。当初は,出家した親王の一般的呼称の一つであったが,1099年(康和元)すでに仁和寺で出家をとげていた白河上皇第3皇子の覚行(かくぎょう)が親王宣下をうけて法親王と称して以後,親王が出家した入道親王に対して,出家後に親王宣下をうけた場合を法親王といい,区別するようになった。僧籍にある孫王が親王宣下をうけたような特殊な場合もある。しかしこの区別も,時代をへるにしたがい曖昧になった。
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…僧侶の社会で中心となり,寺院組織の中核となる者は,幼いときに寺に入り,成年に達するころに正式に僧侶となるのが一般であったから,元服していったん俗世間に出た後に出家して僧体となった人々は,僧侶の中でも別に考えられ,そのなかで身分の高い人々を入道と呼んだのである。一般に皇子の中で親王の身分を認められた人が出家した場合,その人を入道親王と呼び,さきに出家していた皇子が親王の宣下を受けた場合には法親王と呼んで,両者を区別したことにもそのことがあらわれている。中世に入ると,一度世俗で活動した後に出家する人々が増加し,武家として活動した後に出家の姿になった者も入道と呼ばれるようになった。…
※「法親王」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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