自分と前配偶者との間にできた子と現配偶者との関係をいう。子は実子・養子どちらでもよい。民法旧規定(明治民法)は同じ〈家〉の人間は血族であらねばならないというイデオロギーから,継親子を法定血族1親等として実親子同様の効果を与えた。ただし,継子の婚姻,離婚,養子縁組,離縁への同意や親権行使のうえで,継親の権限には制約が課された(民法旧規定878条など)。旧法時代から血族擬制は情誼に反して無理があるという批判があったが,戦後の〈家〉制度廃止により,現行民法は姻族1親等を認めるにとどまる。したがって継親子間には,親権や相続権は発生しない。ただし特別の事情があるときには扶養義務が生ずることもある(民法877条2項)。継親子間には姻族1親等として民法,刑法,社会法(労働法,社会保障法など),訴訟法上特定の法律効果を生ずるが,継子が継親の近親者,遺族の範疇に〈子〉として含まれるか解釈が分かれている。さらに,継親は保護者として少年法,児童福祉法上扱われるが,学校教育法には明文規定がなく,その法的地位に一貫性がない。離婚,再婚の増加,一親家族の親の婚姻など家族の解体,再編が多くなるにともなって,継親と生活を共にする継子が未成年の場合には,継親が継子に対してもつ監護教育上の地位,実親継親離婚後の継親子間の面接交渉,養子縁組手続における家庭裁判所の許可不要条項などを,子の利益保護の観点から再検討する必要があろう。また,老齢の親が再婚する場合,継親となる相手方と継子との間で老親の相続をめぐる紛争の生ずることが指摘されている。日本法では継親子間の婚姻は近親婚として許されないが,婚姻の自由を認めるべきであるとの要請やすでに成立している共同生活保護の必要から,諸外国では条件付き婚姻を認める立法もみられる。継親子関係はしばしば子の意思にかかわりなく形成され,社会の偏見も依然として残っているので,関係法規の整備だけでなく人間関係調整の重要性が説かれている。
執筆者:南方 暁
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夫の先妻の子と後妻、あるいは、妻の先夫の子と後夫との関係を継親(母または父)子関係という。明治民法の下では、継親子が同じ家に属していた場合には、その間に当然法律上の親子関係を認めていた。もともと家族制度に基づくものであり、1948年(昭和23)の民法改正によりこの取扱いは廃止され、現在では単なる姻族1親等の関係にとどまっている。したがって、継子は継親の親権に服さず、相続権もない。ただ直系姻族の関係にあるため婚姻することはできず(民法735条)、特別の事情がある場合には扶養の義務を負う(同法877条2項)。継親(ことに継父)が継子(妻の連れ子)を養子とする例も増えており、そうすれば、継子は継親の親族との間にも親族関係を有することとなる。明治民法下の嫡母庶子関係も、一種の継母子関係であった。
[山本正憲・野澤正充]
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