出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
1911年(明治44)5月、文部省維新史料編纂会として発足し、『大日本維新史料』の編纂を行った会。同会は、前年の井上馨(かおる)の発起による彰明(しょうめい)会を官制化したものである。編纂は、孝明(こうめい)天皇の践祚(せんそ)(1846)から廃藩置県(1871)までをその対象とし、1931年(昭和6)7月に基礎稿本4180冊を完成した。その後体制を縮小し増補修正にあたり、1858年(安政5)5月までの一部、3編19冊が刊行された。また、その編纂過程で『維新史』という概説書も著した。第二次世界大戦後、稿本は東京大学史料編纂所に引き継がれたが、現在でも利用しうる明治維新史関係のもっとも詳細な史料集といえよう。
[横山伊徳]
…旧幕臣による江戸時代の再評価や幕府の衰亡を明治維新史の中軸においた幕府中心の維新史のとらえ方,あるいは東北諸藩を主に描かれた維新史の登場にも,すでに天皇制と固く結びついた〈上から〉の維新観はびくともしなかったのである。そして,日露戦争(1904‐05)を経て天皇制が帝国主義的色彩を強めるのに呼応して,明治維新には,一方では日本の伝統的な民族的特質が強調され,神格化された天皇が中心軸におかれ,他方では開国以来欧米の文化を摂取した日本の〈文明的存在〉が主張されるとともに,官撰の明治維新史を編纂するために,1911年には文部省によって維新史料編纂会が設置された(1937年より《維新史料綱要》全10巻,39年より《維新史》全6巻を刊行)。この年は同時に大逆事件で幸徳秋水らが死刑に処せられた年であったのである。…
※「維新史料編纂会」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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