緊張病(読み)キンチョウビョウ(その他表記)Katatonie[ドイツ]

デジタル大辞泉 「緊張病」の意味・読み・例文・類語

きんちょう‐びょう〔キンチヤウビヤウ〕【緊張病】

統合失調症の一病型。激しい興奮や衝動的行為と、運動をやめ硬直した状態とが交互に現れるもの。

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精選版 日本国語大辞典 「緊張病」の意味・読み・例文・類語

きんちょう‐びょうキンチャウビャウ【緊張病】

  1. 〘 名詞 〙 うつ、興奮、昏迷錯乱認知症を順に経過し筋緊張を伴う精神病。一八七四年ドイツのカールバウム記載。今日では統合失調症の一病型。

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改訂新版 世界大百科事典 「緊張病」の意味・わかりやすい解説

緊張病 (きんちょうびょう)
Katatonie[ドイツ]

意欲と行動の異常を中心とする特徴的な病態で,その名も,病者の表情が固く,全身が硬直しているところから出た。病像として興奮と昏迷という相反する症状を含み,すなわち一方では反響言語・反響動作・命令自動・常同症などを交じえる激しい多動状態,他方ではあらゆる自発運動の停止・強硬症(カタレプシー)・蠟屈症・拒絶症などからなる無動状態が交互に,あるいは一方だけ反復して現れたりするが,経過は概して短く,数ヵ月以内に回復する。1874年ドイツのカールバウムにより独立の疾患として記述されたが,99年にはクレペリンにより早発性痴呆(ちほう)(のちに精神分裂病と呼ばれた)の一型として位置づけられた。今日の早発性認知症(統合失調症)である。しかしチフスなどの感染症,脳腫瘍,躁うつ病,ヒステリーでも似た病像が現れうるので,むしろ各種の原因から生ずる非特異的な緊張病症候群とみなそうとする立場もいぜん根強い。
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百科事典マイペディア 「緊張病」の意味・わかりやすい解説

緊張病【きんちょうびょう】

統合失調症精神分裂病)の一病型で,精神運動興奮または昏迷(こんめい)を主徴とする。精神運動興奮を主徴とする場合は,奇妙な不自然な態度,支離滅裂な独語,衝動的行為,同一行動を激しく繰り返す常同行為,不安定な感情を伴う興奮状態などを示す。昏迷を主徴とする場合は無表情,無言,不動,無反応で拒否的傾向をもつ。しかし運動障害はない。空虚な放心状態にあると思われるものが多いが,外界状況はよく覚えている。両者とも25歳前後に初発することが多く,急性に経過し,多くは数週間で寛解する。統合失調症の中で最も予後がよいが,再発することもあり,再発をくり返すうちに次第に感情鈍麻が目立ってくる。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「緊張病」の意味・わかりやすい解説

緊張病
きんちょうびょう
catatonia

突然,激しい運動や衝動行為を起こして興奮状態を示す緊張病性興奮と,反対にしかめっ面,動きの乏しい表情,緘黙 (かんもく) (→無言症 ) ,無感動,さらには無反応に陥る緊張病性昏迷の二つの症候群を繰り返すのが特徴。統合失調症の一型。 20歳代前半に初発することが多く,急性,亜急性に経過して,数週間で軽快する。1~2度の発症では症状を残すことはない。研究の進歩に伴って緊張病,特に急性の型を統合失調症から分離して,非定型精神病と呼ぶ専門家が増えている。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「緊張病」の意味・わかりやすい解説

緊張病
きんちょうびょう

統合失調症の一類型の別称。

[編集部]

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世界大百科事典(旧版)内の緊張病の言及

【カールバウム】より

…精神疾患の状態像および経過と転帰への注意を促し,症状群Symptomenkomplex,疾患型Typeusの概念を提唱した。緊張病,破瓜病,類破瓜病,蠟屈症などはいずれも彼の命名によるものであるが,とりわけ緊張病は,弟子ヘッカーE.Heckerに記述させた破瓜病とともに,クレペリンの早発性痴呆概念の先駆となった。19世紀のドイツ精神医学を代表する人物の一人。…

【拒絶症】より

緊張病症状群の一つの症状であり,意欲障害に基づくもの。患者はあらゆることを拒否し,反対の行動を示す。…

【精神分裂病】より

… 今日の分裂病につながる概念はやっと19世紀後半に相次いで現れるようになる。まず,フランスのB.A.モレルがその《臨床研究》(1852)で,若年者に発症し急速に痴呆状態へと進行する精神病を〈早発痴呆démence précoce〉と名づける一方,ドイツではK.L.カールバウムが1874年(63年説もある)に精神運動性の興奮と昏迷という相反する状態をふくむ病像を〈緊張病Katatonie〉と名づけた。またE.ヘッカーが1871年に思春期に始まって感情鈍麻や意欲減退を示しながら欠陥状態へと至る病像を〈破瓜病Hebephrenie〉と命名し,最後にE.クレペリンが1899年の彼の《精神医学教科書》第6版であとの二つをまとめ,これに〈妄想痴呆〉を加えて〈早発痴呆Dementia praecox〉と呼んだ。…

※「緊張病」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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