総合技術教育(読み)そうごうぎじゅつきょういく(英語表記)poly-technical education

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

総合技術教育
そうごうぎじゅつきょういく
poly-technical education

近代の主要な生産諸部門にとって必要な技術的基礎を,生産労働に必要な技能,態度とともに総合的に授ける教育。単科的技術教育の対語。 K.マルクス,F.エンゲルスは,大工業の本質を分析して,これが人間の全面的発達を可能ならしめる教育過程の重要な構成部分であることを解明したが,社会主義諸国では,義務的普通教育の一環として実践に移されてきた。

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百科事典マイペディアの解説

総合技術教育【そうごうぎじゅつきょういく】

polytechnismの訳。基礎的教科の一般教育と,基本的生産過程に不可欠な知識・技能の習得とを結合し,人間の全面的発達をめざす新しい型の労働教育。K.マルクスの着眼に始まり,レーニンクループスカヤによって詳細に研究された。1919年ソ連の共産党綱領でその実施が規定されて以来,各国(おもに社会主義国)でその種々の形態が探求された。

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世界大百科事典 第2版の解説

そうごうぎじゅつきょういく【総合技術教育】

ロシア語でpolitekhnicheskoe obrazovanieあるいはpolitekhnizm(ポリテフニズム)ともいう。教育と生産労働の結合を通して人間の全面的発達をめざす教育思想で,科学的社会主義の教育思想の重要な構成部分となっている。この思想の萌芽は,〈農夫のように働き哲学者のように思索する〉人間を理想としたJ.J.ルソーの《エミール》(1762)や,工場労働と教育の結合を試みたR.オーエンなどにもみられたが,マルクスは,機械制大工業の発展の本性が人間の全面的発達を不可避とするととらえ,今後の教育は知育,徳育,体育,総合技術教育で構成されねばならないとした。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

総合技術教育
そうごうぎじゅつきょういく

ロシア語のポリテフニズムполитехнизм/politehnizmの訳語。ポリ(多種、多科)テフニズムは、現代の生産の基礎となっている自然科学の原理や法則を理解させるとともに、生産の基礎にある技術の科学的原理はどのようなものであるか、また、これらの原理や理論が生産のなかでどのように適用されているかなどを、特定の教科だけで教えるのではなく、すべての教科の教授=学習、つまり学校教育全体を通して総合的に行うものである。
 ポリテフニズムは、もともとマルクスの「あらゆる生産工程の一般原則を教え、同時に児童と少年にあらゆる職業の基本的な道具の実地の使用法や取り扱い方の手ほどきをする」、また「技術教育」などから始まった。この考えはロシア革命後のソビエト政権に受け継がれ、ポリテフニズム教育へと発展していった。しかし、このポリテフニズムはその実践にあたっては、時代によってそのあり方や内容が変わっていったが、それは、次のような基本方針に基づいて行われてきた。
〔1〕知識の形式主義的要素を克服し、知識を実際に適用する能力の育成。
〔2〕自然諸科学や数学の基礎の学習の過程で生産の科学的基礎を知らせる。
〔3〕一般教育の教科は初歩的な技術や技術学的知識、生産に利用される器具・設備を取り扱う実際的な能力を与えることができないので、「労働教授」を設置する。
〔4〕第9学年および課外で社会的に有用な労働を組織する。[寺川智祐・神山正弘]
『G・クラップ著、大橋精夫訳『マルクス主義の教育思想』(1961・お茶の水書房) ▽大内兵衛・細川嘉六訳『マルクス=エンゲルス全集 第16巻』(1966・大月書店) ▽技術教育研究会編『総合技術教育と日本の民主教育』(1974・鳩の森書房)』

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