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技術教育 ぎじゅつきょういくtechnical education

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

技術教育
ぎじゅつきょういく
technical education

技術」はきわめて広い意味をもつ言葉であるが,技術教育という場合は,普通,生産活動に必要な技術およびその知識の教育の意味に狭く用いられる。この意味での技術教育は,国民全般を対象として普通教育のなかに含めて行われるものと,もっと直接的な職業的技術教育とに大別される。技術教育は人間の生産活動とともに古く,初めはおのおのの生産の場において,見習い,手伝い,分担,協力などの過程で行われ,やがて職業の分化につれて徒弟制度の形をとり,中世ヨーロッパのギルドのなかにその典型的な姿がみられる。 18世紀の産業革命による機械制生産様式の成立は,工場労働における技能,技術の細分化をもたらし,それに伴って一般労働者に対する技術教育,その監督,指導およびより高度の作業に従事する熟練工や技術者に対する技術教育を必要とするにいたった。他方,学校教育が発達するにつれて,技術教育は次第に学校教育の体制のなかで展開されるようになり,中等・高等教育段階において特殊な教育機関が成立した。日本の組織的な技術教育は,明治初期の欧米近代生産技術の集中的導入とともに開始され,先進国の科学,技術の吸収が当面の先決問題であったため,現場における実技の習得や熟練と学校における学理的理解,研究とが乖離する傾向が強かった。第2次世界大戦以後,技術の飛躍的発達の結果,科学と技術の区別が不明確となり,技術教育の面では産業界と学校とが協力して事にあたる,いわゆる産学協同の体制が生れ,他方,科学と技術とを総合的に取扱う科学技術教育の発想が主張されるにいたった。

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デジタル大辞泉の解説

ぎじゅつ‐きょういく〔‐ケウイク〕【技術教育】

生活や生産活動に必要な技術や知識を習得させる教育。

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世界大百科事典 第2版の解説

ぎじゅつきょういく【技術教育】

一般には工業,農業等の分野の生産技術に関する知識と技能とを習得させるための教育をいうが,技術学の基本を習得させるための技術系高等教育機関の教育もふくまれる。職業教育のように教育目的によってではなく,主としてその教育内容によって特徴づけられる概念である。
[歴史]
 おとなの世代が生産の方法を次の世代に伝えるための教育は,人類の歴史とともに古い。しかし,社会の生産力が高くなってくると,肉体労働によって物質的財貨の生産に従事する者と肉体労働に従事しない者との分化が現れはじめ,時代がさがると職業による分化がすすみ,技術教育の形態も分化した。

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大辞林 第三版の解説

ぎじゅつきょういく【技術教育】

生産活動に必要な知識・技術を習得するための教育。学校・職業訓練所・企業などで行われる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

技術教育
ぎじゅつきょういく

産業技術に関する知識および技能の習得を目的とする教育をいう。[原 正敏]

西欧の技術教育の始め

技術・技能の伝承を古くから支えてきたのは徒弟制度であったが、産業革命はそれを崩壊させた。産業革命後、労働者自身による政治的・経済的向上を目ざす運動が活発化するが、それらの運動と結合して19世紀初めには機械工講習所運動がイギリスでおこった。フランスでは徒弟制度にかわるべき技術教育機関の創出が試みられ、1870年にはパリのウィレット徒弟学校はじめ、各地に市立徒弟学校が開かれ、一般労働者(の上層部)を学校形態で養成する方策がとられた。[原 正敏]

日本の技術教育の流れ

封建時代、手工業生産は「座」「株仲間」など特権的なギルド組織で行われ、その技術の伝承は徒弟制度が支えた。ところが明治維新後、産業革命を経る以前に近代技術が急激に導入されるという状況が生じた。明治初期、文部省は、官僚と工業士官の養成のための高等教育機関の確立と国民への普通教育の普及を当面の課題とした。技術教育に関しては、「学制」(1872公布)に工業・商業・農業などの学校が中学校の一種としてあげられている。
 文部省が最初に取り組んだ本格的な中等工業教育機関は東京職工学校(1881)である。同校は「職工学校ノ師範若(もし)クハ職工長、製造長タルベキ者」の養成を目的とし、職工徒弟講習所を付置した。一方、京都や金沢、八王子、足利(あしかが)、桐生(きりゅう)など伝統工業の中心地では、1880年代末から新技術導入に伴い、研究会や講習会が組織され、90年代以降の中等工業教育機関の基盤となった。「実業補習学校規定」(1893)、「簡易農学校規定」(1894)、「徒弟学校規定」(1894)に続く「工業学校規定」「農業学校規定」の制定、それらを包括する「実業学校令」(1899)と「専門学校令」(1903)に伴う実業専門学校の発足と、制度的に整備される。元来、徒弟学校は「職工タルニ必要ナ教育ヲ為(な)ス」ところ、工業学校は「技手、助手、及ビ工場事務員トナルベキ者ヲ養成スル」ところと、その目的は違っていたが、当時の徒弟や職工層の子弟には通学の余裕などなく、徒弟学校の多くは工業学校の代用となり、初等工業教育に利用され、結局は廃止(1921)された。
 1920年代の高等教育機関の拡大は、工業学校卒業者の地位を相対的に低下させ、理論より実技の練磨が要請され、とりわけ大恐慌下の30年代初頭にはそれが強調された。しかし日中戦争の拡大につれて状況は一変し、工業学校卒業者はおもに下級技能者として迎えられた。第二次世界大戦下、「国民学校令」(1941)に続いて「中等学校令」(1943)が公布され、中等学校制度の改革が進められ、工業学校も従来の100種目近い学科が機械・電気・航空など15科に統一された。これらの学科のうち、敗戦により航空学科が廃止されたが、ほかは51年(昭和26)までほとんど変化しなかった。戦後、実業学校は3か年の高等学校の「職業に関する学科」となり、目標は「中堅技能工員となるべき者に必要な技能・知識を養成する」とされた。
 工業学校・工業高校の教育目標は戦前・戦後を通じて基本的に変わっていない。すなわち、1920年代末から30年代初めと、敗戦直後から50年代にかけて「一般労務者ノ指導者」「健実ナ職工長」「中堅技能工員」となるべき教育が強調されたが、実質的には初級技術者の養成がその中心であった。60年代、「国民所得倍増計画」のもとで工業高校が大拡張されたが、大学進学志向の高まりと相まって普通科高校への進学が予想以上となり、その結果、工業高校は、従来に比べて意欲・学力の低い生徒を抱えるようになり、大都市とその周辺の工業高校では脱落者を生む状況となった。おりからの「技術革新」は、初級技術者のみならず技能工にも高水準の基礎学力と専門的知識を要求した。61年設置の五年制工業高等専門学校や四年制大学工学部の増大と工業高校卒業者の「実力」低下が相まって、工業高校卒業者は、いわゆる初級技術者としての職務からも排除されるようになった。[原 正敏]

技術教育の現状

以上のような状況のもとで、高校段階での職業教育否定論が地域総合制高校論の形で広がった。しかし近年の調査では、企業の中堅技能者要員の採用希望は工業高校卒業者に集中し、その職務も情報処理、修理保全などメカトロニクス時代の基幹的職務についている者が多いことが明らかになった。
 マイクロエレクトロニクスを中心とする「技術革新」の展開は、技術的素養に富んだ「技術的技能者」ともいうべき人材の育成を要請している。その結果、職業訓練においても、高校卒業後2か年の専門訓練課程(職業訓練短期大学)の設置が本格化した。また高校卒業者を対象とする専修学校専門課程(専門学校)が情報処理科と電気・電子科を中心に拡大し、工業高校(工業学科)も修業年限の延長が提起され始めている。「技術的技能者」や初級技術者の養成を教育制度全体のなかでどのように位置づけるべきかが、今後の教育改革の一つの大きな課題となっている。[原 正敏]

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世界大百科事典内の技術教育の言及

【工作教育】より

…主として,手と手の直接の延長である道具を用いて材料を加工し,物を作らせる教育。技術教育の基礎としての役割を果たす。この教育により,はさみ・のこぎり・金づちなど道具の性能や,粘土・木など材料の性質を学び,さまざまな技能を習得する。…

※「技術教育」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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