食の医学館 「練り製品・塩辛」の解説
ねりせいひんしおから【練り製品・塩辛】
日本人は、練り製品を年間100万tも消費し、わが国の漁獲量の約1/4が練り製品になっています。使用される魚はエソ、グチ、ハモ、トビウオ、カレイ、ヒラメ、スケトウダラなどの白身ですが、最近はイワシやサバなどの青身も使われるようになりました。
練り製品は原料が魚なので、良質のたんぱく質とカルシウムを含んでいるのが特徴です。また、魚というイメージも消えるので、魚嫌いな人にはおすすめです。
ただし、加工の段階で塩のほか、ソルビン酸やソルビン酸カリウムといった保存料、また赤色3号といった着色料が使われているものもあるので、チェックしてから購入しましょう。JASマーク(日本農林規格)は、製品の品位、容器の状態、食品添加物の使用を限定したものなので、表示を見ることもお忘れなく。
◇かまぼこ類/魚肉のすり身に卵白(らんぱく)と調味料などを合わせ形成し、蒸(む)したり焼いたりしたものです。「蒸し」は、板付きかまぼこ、す巻きかまぼこ、昆布巻きかまぼこなど。「焼き」は、笹かまぼこ、なんば焼きなどがあります。ほかに、チーズなどを細工した特殊なかまぼこもあります。
◇焼きちくわ/調味した魚のすり身を棒に塗って焼いたものです。棒を抜き取った形が竹の輪に似ていることから、この名がつきました。日本各地に有名なちくわがあります。たとえば青森・宮城のぼたんちくわ、愛知の豊橋ちくわ、中国地方のたいちくわ、四国地方の竹ちくわ、九州のこがねちくわなどが有名です。
◇梅焼・伊達巻き/すり身にたまごと砂糖を加えて焼いたものです。梅焼は梅の型に入れて焼いたもので、おもに関西で流通しています。伊達巻(だてま)きは四角に焼いてからすだれで巻いたもので、お正月の重詰めなどに使われます。
◇つみれ/赤身の魚をすり身にして調理し、手でつみとりながら丸めたので、この名がつきました。
◇なると/白身のすり身をのばし、赤色をつけてすり身を重ね、うずまき状にすだれ巻きし、ゆでたものです。
◇はんぺん/すり身に、おろしたヤマノイモを加え、細かい気泡を含ませてゆでて形成したものです。原料は、おもにサメのすり身が使われます。類似ものに、しんじょ、静岡県の黒はんぺん、関西のあんぺいがあります。
◇さつま揚げ/すり身を調理して形成し、油で揚げたものです。野菜やエビなどを加えて揚げたものもあります。鹿児島ではつけ揚げ、関西ではてんぷらといいます。
◇魚肉ハム・ソーセージ/魚肉ハムは、魚肉の肉片の塩漬けに、食肉の肉片や挽(ひ)き肉をはじめ、でんぷんや植物性たんぱく質などのつなぎを加えて調理し、袋詰めして加熱したものです。魚肉ソーセージは、魚肉のすり身とつなぎを袋詰めして加熱したものです。JASでは、魚肉が50%以上、つなぎが50%未満、植物性たんぱく質が20%未満と定めています。
《塩辛》
塩辛は、魚介類の筋肉や内臓に、食塩を加えて腐敗を防ぎ、独特の風味やうまみの成分を醸(かも)しだした、発酵食品の一種です。
内臓の加工食品なので、ビタミンA効力は期待できますが、コレステロールや塩分が多いので食べすぎに注意しましょう。また、心臓病のある人、高血圧の人は厳禁です。
◇イカ塩辛/イカの塩辛は「白づくり」「黒づくり」「赤づくり」があります。白づくりは、イカの皮をむいて肝臓と麹(こうじ)を加えて成熟させたもの。黒づくりは、イカの墨を加えたもの。赤づくりはもっとも一般的なもので、イカの皮をつけたまま切り込み、皮の色素が赤くなることからこの名がついています。
◇カツオ塩辛/「酒盗(しゅとう)」といいます。カツオの内臓のうち、みのわた・胃・腸だけを利用したものです。
◇ウニ塩辛/バフンウニ、アカウニ、ムラサキウニなどの生殖巣を原料に塩蔵したものです。
◇このわた/ナマコの腸にある泥や消化物を取り除き、25~30%の食塩を加えて熟成させたものです。
◇うるか/アユの内臓を塩辛にしたものです。卵巣(らんそう)を原料とした「真子(まこ)うるか」、卵巣以外の内臓を原料にした「渋うるか」、精巣を原料とした「白うるか」、卵巣と精巣を合わせた「子うるか」があります。
ほかに、サケやマスの腎臓(じんぞう)を塩漬けした「めふん」、タイのたまごや、タイのたまごにヒラメやスケトウダラの卵を混ぜてつくられた「タイの子塩辛」、ホヤのかたい部分を取り除き、筋膜体を使った「ホヤ塩辛」などもあります。