伊達巻(読み)ダテマキ

デジタル大辞泉 「伊達巻」の意味・読み・例文・類語

だて‐まき【伊達巻(き)】

幅10センチくらいの細帯。帯を締める下ごしらえのために長着の端折はしょを整えた上に巻き、両端を結ばず挟んで始末する。博多織が多い。
白身魚すり身をまぜた卵の厚焼きを、渦巻き形にすだれで巻いたもの。

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精選版 日本国語大辞典 「伊達巻」の意味・読み・例文・類語

だて‐まき【伊達巻】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 女性が和服の着くずれを防ぐために締める幅の狭い帯。博多織などのしっかりした布で作り、端をはさみ込んでとめる。
    1. [初出の実例]「細い博多の伊達巻がずるこけてゐた」(出典:あきらめ(1911)〈田村俊子〉一三)
  3. といた卵に白身魚のすり身を加えて混ぜ、みりんと塩で調味して卵焼き鍋で厚く流して焼き、切り口がうず巻状になるよう巻き簀で巻いたもの。祝いごとの料理に用いる。

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改訂新版 世界大百科事典 「伊達巻」の意味・わかりやすい解説

伊達巻 (だてまき)

卵焼きの一種。ふつう白身の魚のすり身に卵黄をまぜ,砂糖,塩,しょうゆなどで調味して厚焼きにし,すだれで巻く。正月料理口取,折詰などに用いる。かまぼこ製造のさい卵白だけを使うため,残った卵黄の利用法として製造されるようになった。江戸時代には,薄焼卵に魚のすり身を塗りつけて巻き,かんぴょうでしばって,調味したしょうゆで煮る〈巻卵〉という料理が見られた。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「伊達巻」の意味・わかりやすい解説

伊達巻(水産練り製品)
だてまき

水産練り製品の一種。魚のすり身に卵黄あるいは全卵を混ぜ、砂糖、みりんなどで甘味をつけ、四角い板状に焼き、簾(すだれ)で渦巻状に巻いたもの。着物の小物の一つ伊達巻に似ているのでこの名がついた。かまぼこには卵白だけを使うため、残った卵黄の利用法として考えられたものという。魚のすり身の種類により品質が決まる。タイ、エビヒラメなどは上等である。魚と卵を使用するため、タンパク質を約15%含む。脂質も多く約8%。また調味に砂糖などの甘味料を使うためエネルギーが高く、100グラムで約200キロカロリーある。そのまま切って食する。正月の重詰めや口取りに用いられることが多い。

河野友美大滝 緑]


伊達巻(和装小物)
だてまき

和装小物の一種。長襦袢(ながじゅばん)の上か、帯の下に胴を整えて締める幅の狭い単帯(ひとえおび)。幅9.5センチメートル、長さ2.1メートル内外で、胴を2回りして端を挟み込んで固定する。または両端に紐(ひも)をつけて結ぶこともある。おもに博多織が用いられ、いちばん締めよい。無地、献上、縞(しま)などが多い。伊達巻を改良したものに伊達締(だてじめ)がある。これは伊達巻の両端の織り方をかえて結びやすくしたもので、近年は一般化している。舞踊、花嫁衣装などのときは、胴を3回りする長いものを用いる。

[藤本やす]

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百科事典マイペディア 「伊達巻」の意味・わかりやすい解説

伊達巻(食品)【だてまき】

魚のすり身をまぜた卵焼きの一種。白身の魚をすりつぶし,これに鶏卵(主として卵黄)をとき入れ,塩,砂糖,しょうゆなどで調味し,天火で平板状に焼き,すだれで巻き込む。主として口取,正月料理などにする。
→関連項目練製品

伊達巻(衣服)【だてまき】

伊達締とも。女性の和装小物の一つ。着くずれを防ぐために長襦袢(じゅばん)の上や帯下に締める幅の狭い帯。博多織などのほか,絹やナイロンで仕立てて芯(しん)を入れたものもある。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「伊達巻」の意味・わかりやすい解説

伊達巻
だてまき

長着のおはしょりや長襦絆の上に,下ごしらえとして用いられる帯の一種で,繻子 (しゅす) 地や博多織が多い。 10cm× 2m程度。端は結ばずにはさみ込んだままにする。なお,結べるように織端を細くしたり紐状にしたものは伊達締めという。が,この語が伊達巻をさすこともある。

伊達巻
だてまき

卵と魚を用いた加工品の一種。伊達巻卵ともいう。卵黄に魚のすり身,味醂,砂糖,醤油を加えてオーブンで焼いたものを渦巻状に巻いたもの。四角い板状のものは厚焼といい,口取りに用いる。魚肉はえび,石持,えそが用いられる。

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世界大百科事典(旧版)内の伊達巻の言及

【伊達締】より

…正絹で中央が堅く織られている博多織がかさばらずに使いよい。伊達巻は倍ほどの長さでぐるぐる巻きつけて体型の補整も兼ね,花嫁衣装の着付などに用いる。男物の伊達締は幅が5cmほどで,寝巻などに使う。…

【すし(鮓∥鮨)】より

…関西ではノリ巻,卵巻がともに愛好され,芯には卵焼き,シイタケ,かんぴょう,凍豆腐,ミツバその他を取り合わせて用い,太巻にする。厚焼卵で巻いたものを関東で伊達巻(だてまき)と呼ぶ。薄焼卵で包む茶巾(ちやきん)ずしや,熊野灘沿岸地方に見られるめばりずし(タカナの漬物で包んだもの)なども,巻きずしの類品といえようか。…

【卵】より

…後者は甘みをひかえただしを加えて焼き,焼き上げたものを簀(す)で巻いて形をととのえる。厚焼きでウナギの蒲焼を巻いたものを〈う巻〉といい,魚のすり身を加えた厚焼きを巻いたのが伊達巻(だてまき)である。目玉焼きはフライパンにバターを入れ,熱したところへ割り入れて焼く。…

※「伊達巻」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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