先カンブリア時代の楯状地に広く分布する鉄に富む海成堆積物。鉄鉱物とチャートが互層状の細い縞目をつくっているのでこの名がある。鉄の含有量はふつう20~40%。高品位のものは鉄鉱石として採掘され,世界の鉄の生産量の90%,埋蔵量の60%を占める。主要な鉱床は,ラブラドル(カナダ),スペリオル湖周辺(アメリカ),カラジャス山地(ブラジル),クリボイ・ログ(ウクライナ),鞍山(中国),ハマーズリー山地(オーストラリア)など。生成時代は始生代および原生代初期で,とくに20億~25億年前に多い。成因に関しては諸説があるが,ほぼ20億年前に大気中に遊離酸素が蓄積し始めたことと関連づけて,当時の還元的な海水中に第一鉄の形で溶けていた鉄が,浮遊性ラン藻などの原始的な植物性プランクトンの光合成で生じた酸素によって難溶性の第二鉄に酸化されて,世界的な規模で沈殿したとする説が広く認められている。縞目模様は,チャートの原料であるシリカが連続して沈殿しているような場所で,季節変化などにより植物性プランクトンの活動が周期的に活発になったか,あるいは火山活動や海水の循環などにより鉄が周期的に供給されたために生じたのではないかと考えられている。
執筆者:佐藤 壮郎
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…時期,期間ともに鉱床のタイプによりさまざまであるが,先カンブリア時代から現在までの地質時代に世界各地でいろいろな鉱床生成期が知られている。例えば,全世界の大陸地域にみられる縞状鉄鉱層の大部分は約20億年前ころの2億~3億年間に生成したもので,この時期に海洋や大気の組成に大きな変化が生じたために莫大な量の鉄鉱が海水から沈殿したものと考えられている。日本の火成鉱床の大部分は二つの鉱床生成期,白亜紀(7000万~1億3000万年前)と新第三紀(1万~2500万年前)のいずれかに属しているが,これはこれらの時期に花コウ岩質マグマの活発な活動があり,多くの火成鉱床がその活動により生成されたためである。…
…この海中でラン藻が繁殖して光合成作用を行い,炭酸ガスから酸素を放出すると,酸素は鉄と化合して酸化鉄として海底に堆積した。これが縞状鉄鉱層であり,縞は,藻が繁殖する夏と休眠する冬の季節を示すと考えられている。縞状鉄鉱層の堆積は20億年前,突然終りを告げる。…
…鉄を含む鉱物を総称していう。鉄鉱物は硫化鉱物,酸化鉱物,水酸化鉱物,ハロゲン化鉱物,炭酸塩鉱物,リン酸塩鉱物,ヒ酸塩鉱物,ケイ酸塩鉱物など多様な化学組成をもっている。これらの鉱物中で鉄はFe2+およびFe3+の酸化状態で存在する。火成岩や変成岩中では,2価の鉄はマグネシウムとともにカンラン石,輝石,角セン石,黒雲母などの有色ケイ酸塩鉱物中に存在し,3価の鉄はケイ酸塩鉱物中のアルミニウムの一部を置換している。…
※「縞状鉄鉱層」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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