中国東北部、遼寧(りょうねい)省中部の地級市で、鉱工業都市。中国最大の製鉄の町である。常住人口350万3584(2012)。哈大(はだい)線(ハルビン―大連(だいれん))に沿い、鉄東(てつとう)、鉄西(てつせい)、立山(りつざん)、千山(せんざん)区の4市轄区と、岫岩(しゅうがん)満洲(まんしゅう)族自治県、台安(たいあん)県を管轄し、海城(かいじょう)市の管轄代行を行う(2016年時点)。1937年市制施行。市街地近郊に弓長嶺(きゅうちょうれい)(遼陽(りょうよう)市)、大孤山、斉大山、東鞍山、眼前山などの鉄山があり、また撫順(ぶじゅん)、本渓(ほんけい)の石炭、錦西(きんせい)、朝陽(ちょうよう)のマンガンなど製鉄に必要な他の原料産地も比較的近い。ただし、鉄鉱石としては貧鉱(低品位鉱)に属する。
鞍山の鉄鉱石の採掘と製鉄は、戦国時代(前5~前3世紀)に始まるとされ、10世紀中葉から12世紀前半の遼代に非常に盛んであったといわれるが、明(みん)代以降、とくに清(しん)代には衰微していた。20世紀に入り、日本がこの資源に着目し、1918年(大正7)東北(満州)侵略の一環として鞍山製鉄所(現、鞍山鋼鉄集団)を建設した。1945年日本の敗北後、国民党の統治下で荒廃したが、中華人民共和国成立後急速に復興し拡張が行われた。
製鉄のほか、機械、建築材料工業もあるが、製鉄中心の産業構造であることに変わりはない。生産量の点では鞍山鋼鉄集団は国内4位、世界7位(2015)である。千山区には鞍山騰鰲(とうごう)空港があり、北京(ペキン)、上海(シャンハイ)、広州(こうしゅう)と直行便で結ばれている。
[河野通博・編集部 2017年4月18日]
中国東北部の遼寧省に位置する鉱工業都市。人口118万7000(1981)。瀋陽~大連間の鉄道に沿い,製鉄業の中心都市,〈鉄鋼の都〉として知られている。鞍山付近は,鉄鉱石が豊富で,古く前漢時代(前3~後1世紀)に製鉄が行われていたという。遼の時代(916-1125)にも鞍山鉱より鉱石を採掘し製鉄した記録があるが,現在の鞍山と十数kmはなれた所であった。ところでこの地は,北京から遼陽,遼陽から海州などに通じる要地で,明・清の交代期には,両者の衝突地であった。また日露戦争の激戦の舞台ともなり,荒廃して東北の一寒村となった。しかし1909年に満鉄地質調査所がこの地に大鉄鉱床を発見(推定埋蔵量10億t),18年満鉄鞍山製鉄所が設立されて以降,第2次世界大戦前の日本の植民地統治下の時期を通じ一貫して重要製鉄業地帯であった。満鉄鞍山製鉄所は,33年には昭和製鋼所とその名を改め,数次の増産計画を実施,第2次大戦中には,本渓湖とならぶ中国東北部随一の製鉄所に成長していった。敗戦後は,ソ連軍の進駐による施設の撤去に国共内戦の混乱が加わり,敗戦時の施設の70~80%が破壊された。しかし,49年以降新政府のもとで復興作業が進められ,第1次五ヵ年計画(1953-57)の時期には,ソ連の援助で生産が回復,54年には年産150万tに達し,戦前ピークの時期を凌駕した。以降,数次にわたる拡張計画が実施に移され,文化大革命の時期に生産量は一時低下したものの,その後徐々に回復,今日では,中国三大コンビナート(鞍山,武漢,包頭)の一つを形成するにいたっている。鞍山を代表する鞍山鋼鉄公司は,50余の関連工場,鉱山を有し,労働者20万人(関連部門を含む)を擁して銑鉄,粗鋼,鋼材,鋼管類,副産物として化学肥料を生産している。
執筆者:河野 通博+小林 英夫
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