老人と海(読み)ロウジントウミ(その他表記)The Old Man and the Sea

デジタル大辞泉 「老人と海」の意味・読み・例文・類語

ろうじんとうみ〔ラウジンとうみ〕【老人と海】

原題The Old Man and the Seaヘミングウェイ小説。1952年刊。大魚との死闘を繰り広げるキューバの老漁夫を通して、苛酷な自然に立ち向かう人間の孤独と尊厳を描く。

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精選版 日本国語大辞典 「老人と海」の意味・読み・例文・類語

ろうじんとうみラウジン‥【老人と海】

  1. ( 原題[英語] The Old Man and the Sea ) 中編小説。ヘミングウェー作。一九五二年刊。老漁夫が長い不漁のあと三日二晩の死闘の末、大きなマカジキを仕留めるが、帰途サメの群に襲われ港に着いた時に魚は骨だけとなっていた。苛酷な自然に立ち向かう人間の孤独と尊厳を描く。一九五三年度ピュリッツァー賞を受賞した。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「老人と海」の意味・わかりやすい解説

老人と海
ろうじんとうみ
The Old Man and the Sea

アメリカの小説家ヘミングウェイの後期の代表的中編小説。1952年刊。キューバの老漁夫サンチャゴは、84日間の不漁のあと、ひとりメキシコ湾流に遠出し、ついに巨大なマカジキを釣り針にかける。姿を見せぬまま力強く船を引き続ける大魚に、老人は知識と体力の限りを尽くして対抗するうちに、敬意友愛を抱きさえする。二昼夜にわたる苦闘のすえに銛(もり)を打ち込むが、それは大自然の美と力の化身と孤独な苦闘者との激しい合体の瞬間である。帰途、船べりに縛り付けた大魚をサメが次々に襲う。絶望的な闘いのなかで老人は「打ちのめされても敗れない」人間の尊厳をみせる。老人はキューバ人であるが、本質的には辺境の自然で闘う孤独な男というアメリカ的ヒーローの系譜に属する。文体は簡潔清澄で、また詩情と象徴性に富む。出版後大いに好評を得、ピュリッツァー賞に続き、1954年ノーベル文学賞をもたらした。

[武藤脩二]

『福田恆存訳『老人と海』(新潮文庫)』『野崎孝・佐伯彰一他訳『老人と海』(『世界文学全集77』所収・1977・集英社)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「老人と海」の意味・わかりやすい解説

老人と海
ろうじんとうみ
The Old Man and the Sea

アメリカの小説家アーネスト・ヘミングウェーの中編小説。 1952年刊。キューバの老漁夫サンチアゴは不漁続きで 85日目にようやく獲物と出会い,2日2晩にわたる死闘の末,巨大なまかじきを仕留めるが,帰港の途中さめに食い散らされ骨だけを持帰る。自然と人間の対決を象徴的に描いた名作

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デジタル大辞泉プラス 「老人と海」の解説

老人と海

1958年製作のアメリカ映画。原題《The Old Man and the Sea》。アーネスト・ヘミングウェイの同名小説の映画化。監督:ジョン・スタージェス、出演:スペンサー・トレーシーほか。第31回米国アカデミー賞劇・喜劇映画音楽賞受賞。

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世界大百科事典(旧版)内の老人と海の言及

【ヘミングウェー】より

…その間,短編集《勝者には何もやるな》(1933)での成果,スペイン内乱を描く《誰(た)がために鐘は鳴る》(1940)の商業的成功,そして闘牛と猛獣狩りを扱うノンフィクション《午後の死》(1932)と《アフリカの緑の丘》(1935)の執筆などが特記される。のち,老いた漁師と大魚の神話的な死闘を語る《老人と海》(1952)で再び腕のさえを示した彼は,1954年ノーベル賞を受賞したが,61年猟銃で自殺をとげた。死後《移動祝祭日》(1964)などが出た。…

※「老人と海」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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