企業が社員の育児を支援するため、独自に設ける制度。育児・介護休業法に基づき、原則1歳未満の子どもを養育するための「育児休業」と併用可能。政府は男性の育児を巡り、妻の出産後、8週以内に計4週間まで取得できる「産後パパ育休」も2022年10月から始めた。こうした国の動きや、女性活躍支援など人材の価値を最大限に引き出す「人的資本経営」の実現には投資家が注目しており、企業は制度の充実を図っている。
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子どもをもつ男女労働者が,育児のために一定期間休暇をとる制度。日本では,電電公社や民間企業において1960年代に実施されはじめた。公務員である教員,看護婦,保母には,75年に制定されたいわゆる育児休業法(〈義務教育諸学校等の女子教育職員及び医療施設,社会福祉施設等の看護婦,保母等の育児休業に関する法律〉)により,1年間の無給休暇(ただし,社会保険掛金相当分は支給)が付与されており,利用率も高い。民間企業に関しては,勤労婦人福祉法(1972公布)11条に,事業主の育児に関する便宜供与の努力義務規定があるが,育児休暇制度の普及率は高いとはいえない(1981年度の労働省調査ではサービス業も含む事業所の14.3%)。この制度は,これまで育児のために退職せざるをえなかった女子労働者の退職を防ぐという労働権保障の意味をもつ反面,乳幼児をもつ母親労働者の母性保護のための経費を軽減するという企業の労働管理としての意味をも併せもつものであった。そのため,労働組合や婦人団体は,保育所増設と母性保護拡大の運動を推進するとともに,(1)本人の選択による請求,(2)有給保障,(3)原職復帰,(4)休暇中の代替要員確保の4条件をそなえた制度を要求している。ILO第156号条約(1981。日本は未批准)は、母親のみならず,父親にも育児休業を認めている。85年に制定された〈男女雇用機会均等法〉には,女性労働者のために,事業主が,育児のための便宜供与をする努力規定がおかれた(旧11条)。しかし,育児などの家族的責任は男女が平等に担うべきだとする思想が国際的に普及するなかで,日本でも法の改正が行われ,91年の〈育児休業に関する法律(育児休業法)〉は,男女ともに育児休業を申し出ることができると定めるようになった。現行の〈育児・介護休業法〉(1995成立)によれば,1歳未満の子どもをもつ男女労働者は,子どもが生まれた日から満1歳の誕生日の前日までの間の希望する期間,休業をすることができる。休業期間中の賃金の支払いは,事業主に対して義務づけられていないため,労使が自由に決定する。しかし,雇用保険の育児休業給付として,賃金の25%が労働者に支給され,健康保険と年金保険の保険料の本人負担分は免除される。また,育児休業を取得していない労働者に対しては,事業主は,就業しながら子どもを養育できるような措置を実施しなければならない。
執筆者:浅倉 むつ子
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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