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胃切除

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栄養・生化学辞典の解説

胃切除

 がんや潰瘍などのため,胃を切除する処置.

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世界大百科事典 第2版の解説

いせつじょ【胃切除 gastrectomy】

胃の疾患,とくに潰瘍や癌などの病気に際して,胃の一部あるいは全部を切除する場合,消化管は上から下までつながっている必要があるので,切除後はつなげること(これを再建術式という)が必要となる。この切除と再建を含めて胃切除術という。胃切除に最初に成功したのはウィーン大学ビルロートTheodor Billroth(1829‐94)で,彼は1881年胃癌の婦人に行って成功した。その後,細かい技術や原理に対する考え方の変遷はあったが,彼の胃切除術は基本的には今日でも踏襲されている。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

胃切除
いせつじょ

手術によって胃の一部ないし全部を取り除くことで、胃癌(いがん)や消化性潰瘍(かいよう)(胃・十二指腸潰瘍)などの疾患に対する治療として行われる。1881年にウィーンの外科医ビルロートが初めて成功した。根治手術としての胃切除では、病巣の除去と再発防止の二つの要素を考慮する必要がある。とりわけ、進行胃癌の場合、このことはきわめて重要であり、腫瘍(しゅよう)を肉眼的にすべて摘出するとともに、手術所見で転移が推測されるリンパ節群と同等もしくはそれ以上のリンパ節群を郭清(かくせい)(取り除くこと)して、再発防止に努めることが原則とされる。
 切除の部位や範囲により、胃切除は次のように分けられる。
(1)幽門側切除 胃の幽門側(十二指腸に近い部分)を切除するもので、再建法には残胃と十二指腸を吻合(ふんごう)するビルロート法と、残胃と空腸(十二指腸に続く小腸部分)を吻合するビルロート法がある。主として胃角部(胃の小彎(しょうわん)が胃体部から幽門部に移行するところにみられる切れ込んだ部分)周辺およびそれ以下の胃疾患が対象となる。切除範囲は疾患によって異なり、一般に進行胃癌では胃の5分の4程度の切除(亜全摘)が、また胃潰瘍や早期胃癌では3分の2程度の切除(広範囲切除)が行われることが多い。これら幽門側胃切除は、わが国でもっとも多く行われている代表的な胃切除術式である。
(2)全摘除 胃を全部摘除したのち、十二指腸断端を縫合閉鎖して食道に空腸を吻合する。あるいは胃と十二指腸の間に空腸を間置する。胃の上部から下部まで広範に及ぶ癌のほか噴門部や胃体部の癌にしばしば行われる。
(3)噴門側切除 噴門部潰瘍に対しては、潰瘍を含めて胃の噴門側(食道に近い部分)約3分の1程度を切除し、食道と残胃を吻合する噴門側切除が行われる。また比較的早期の癌が、胃の上部3分の1に限局して存在する場合に、全摘除を避けて噴門側切除を行うこともあるが、良性疾患の場合より切除範囲が大きくなることが多く、食道と残胃の間に小腸を間置して再建する場合もある。
(4)分節的切除 病変部を含めて胃体部を分節的に切除して上下の残胃をそれぞれの断端で吻合する術式で、噴門部よりやや下方に位置する胃潰瘍や早期胃癌などに行われる。
 胃切除後の経過が順調の場合、術後10日~2週間くらいで退院できるが、術後2~3か月間は、なるべく高タンパクで消化しやすい食品を十分にそしゃくし、時間をかけてとるようにする。また、胃の貯留能が低下して、1回の食事ですこししか食べられないため、食事回数を1日5~6回に増やして、栄養不足にならないよう留意する。[松木 久]

胃切除後症候群

胃切除後におきるダンピング症候群や輸入脚症候群(胆汁や膵液(すいえき)が輸入脚(=胃と空腸の吻合部から口側の空腸や十二指腸)の中にたまり、内圧の上昇に伴って胆汁性嘔吐(おうと)をきたすもの)をはじめ貧血、下痢、代謝障害その他の障害を一括して胃切除後症候群という。ダンピング症候群には食後20~30分以内に起こる早期症状と食後2~3時間で起こる後期症状がある。早期症状は血管運動性症状(全身倦怠(けんたい)感、めまい、頻脈、発汗、動悸(どうき)、起立不能)と腹部症状(腸蠕動亢進(ちょうぜんどうこうしん)、腹部の膨満感や不快感、腹痛、悪心(おしん)、嘔吐、下痢)がある。軽症のものまで含めると胃切除患者の10~20%に発生する。食事の回数を増やして1回の食事量を減らし、過度に甘いもの、冷たいもの、熱いものの摂取を控えるなどの食事療法だけで消失するものが多い。自律神経機能調整剤や抗セロトニン剤も有効である。後期症状は食後の一過性の高血糖に続く低血糖のために起こる症状で、急激な高血糖をきたさぬよう食事の摂取法を変えればみられなくなる。症状出現時には、すみやかに糖類を摂取し、血糖を補えば症状は消失する。また胃切除後には鉄の吸収が障害され、鉄欠乏性貧血をきたしやすい。さらに胃全摘後は、胃体部壁細胞から分泌されるキャッスルCastle内因子(一定範囲の分子量をもつ糖タンパク)が欠乏してビタミンB12がほとんど吸収されないため、加療せずにいると5年前後で巨赤芽球性貧血が出現する。これら胃切除後の貧血は無胃性貧血とよばれ、鉄剤やビタミンB12の投与が有効である。[松木 久]
『熊谷洋監修、梅田幸雄編『胃を切った人の養生学――胃を切る人・切った人のために』(1981・協和企画) ▽林田康男、検見崎聡美監修『胃・腸手術後の人の食卓』(2000・保健同人社) ▽松尾裕監修、高山美治編『胃を切った人・警戒したい12疾患』(2001・協和企画) ▽吉田美香監修『胃・腸を切った人のおいしい特効メニュー』(2008・主婦の友社)』

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世界大百科事典内の胃切除の言及

【胃癌】より

…癌の胃を切除するのに初めて成功したのはオーストリアのビルロートC.A.Billroth(1829‐94)である。彼の行った手術方法は,現在でも胃切除の基本となっている。癌の進行がひどすぎて手術ができない場合や,手術をしたが完全に癌を取り除くことができなかった場合には,制癌剤を用いた化学療法が行われる。…

【ダンピング症候群】より

胃切除の手術を受けた後におこる胃切後遺症の一つ。食後,心窩部(しんかぶ)(みぞおち)膨満感,圧迫感,悪心,嘔吐などの腹部症状と,脱力感,めまい,発汗,心悸亢進などの循環失調症状を伴う一連の症候群である。…

【ビルロート】より

…ドイツの医学者。胃切除術の開発で知られ,内臓外科学の父と称される。ゲッティンゲン大学とベルリン大学で医学を学び,1856年にベルリン大学講師となり,病理学的研究に従事,60年にチューリヒ大学外科学教授,67年から25年間,ウィーン大学外科学教授を務めた。…

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