脂ぎる(読み)アブラギル

デジタル大辞泉 「脂ぎる」の意味・読み・例文・類語

あぶら‐ぎ・る【脂ぎる】

[動ラ五(四)]
表面に脂が浮かび出て、ぎらぎらする。「―・ったスープ
精力的でしつこい感じがする。「―・った中年男
[類語](1ぎたぎたぎとぎとこてこてねっとりこってり脂っこい脂ギッシュオイリー/(2濃厚濃い濃密深いこまやか濃度色濃いくどいしつこい毒毒しいごてごて

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「脂ぎる」の意味・読み・例文・類語

あぶら‐ぎ・る【脂ぎる】

  1. 〘 自動詞 ラ行五(四) 〙 ( 「あぶらきる」とも )
  2. 表面にあぶらがたくさん浮かんで、ぎらぎらする。
    1. [初出の実例]「水のあぶらきったるは早朝に面を洗たる水をすつるによってぞ」(出典:古文真宝桂林抄(1485頃)乾)
    2. 「何でも薬湯とか号するのださうで、〈略〉膏ぎって、重た気に濁って居る」(出典:吾輩は猫である(1905‐06)〈夏目漱石〉七)
  3. 脂肪分が多く、皮膚がぎらぎらする、つやつやする。また、脂肪がのって太っている。
    1. [初出の実例]「膏はあふらきった味のうまい心か」(出典:玉塵抄(1563)四五)
    2. 「Aburaguitta(アブラギッタ) ヒト、または、aburaqitta(アブラキッタ) ヒト」(出典日葡辞書(1603‐04))
  4. ( 比喩的に ) 精力的である。また、欲深く野心的である。
    1. [初出の実例]「肥満は、必ずしも、アブラぎった内容を意味しない」(出典:自由学校(1950)〈獅子文六〉都会の谷間)
  5. 全体に油じみた感じにくすむ。
    1. [初出の実例]「下座敷は変に油ぎって汚れてゐた」(出典:或る女(1919)〈有島武郎〉前)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

今日のキーワード

ベートーベンの「第九」

「歓喜の歌」の合唱で知られ、聴力をほぼ失ったベートーベンが晩年に完成させた最後の交響曲。第4楽章にある合唱は人生の苦悩と喜び、全人類の兄弟愛をたたえたシラーの詩が基で欧州連合(EU)の歌にも指定され...

ベートーベンの「第九」の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android