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水素脆性 すいそぜいせいhydrogen brittleness

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

水素脆性
すいそぜいせい
hydrogen brittleness

多くの金属材料は外力のかかった使用状態で,環境から水素の侵入を受けると,その機械的性質が著しく劣化する。つまり,水素によって金属がもろくなる現象があり,これを水素脆性または水素脆化,水素もろさという。水素脆性は種々の金属,合金で起るが,なかでも鉄と銅の場合が古くから知られている。また鋼材と銅について異なった意味で使われる。 (1) 鋼材では,引抜き加工過程中の酸洗いで発生した水素が鋼中に浸透して鋼をもろくし,次の加工で割れを生じることをいう。酸洗い脆性ともいう。放置すれば水素は抜けて靭性を回復するが,時間がかかるので,石灰で酸を中和したのち低温に加熱して水素を蒸散させる。 (2) 銅の場合電気銅に起る。通常,電気銅には 0.02~0.04%の酸素が内在するので,還元雰囲気,特に水素中で加熱すると内在酸素と反応し,反応生成物の熱膨張のため脆化する。銅の水素病ともいう。無酸素銅では起らない。

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百科事典マイペディアの解説

水素脆性【すいそぜいせい】

水素脆化とも。金属が水素を吸収して靭性(じんせい)が低下すること。鋼に多く見られる。金属表面での陰極反応(酸性,電気酸洗,腐食などによる)により生じた水素が金属中に侵入するために起こる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

水素脆性
すいそぜいせい
hydrogen embrittlement

金属が水素を吸収してもろくなる現象。チタンタンタルジルコニウムなどは水素を吸収するともろい水素化物ができるためにもろくなる。鋼もまた水素脆性をおこすが、その機構については次のような説がある。
(1)高圧水素ガス説 鋼中の微小空隙(くうげき)に不純物として含まれている水素原子が集まり、水素分子となって高圧を生じ、空隙を押し広げる。
(2)水素吸着説 空隙の表面に水素原子が吸着して表面張力を低下させ、空隙の拡大を容易にする。
(3)原子間結合力低下説 引張り力が働いている鉄原子間に水素原子が入り込んで鉄原子間結合力を低下させ、割れの発生を容易にする。
 工業的にもっとも問題なのは、高力な鋼ほどそれが腐食する際に発生する水素が吸収されてもろくなる現象である。引張り力と腐食とが同時に作用する場合におこる応力腐食割れstress corrosion crackingの原因の一つであり、溶接構造物におこりやすい。[須藤 一]

出典|小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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世界大百科事典内の水素脆性の言及

【応力腐食割れ】より


[水素脆化]
 体心立方(BCC)構造をもつ鋼は,鋳造,塑性加工,酸洗い,めっき,腐食などの過程で容易に水素を吸収する。水素脆化(水素脆性)hydrogen embrittlement(HE)は,水素の吸蔵によって鋼の機械的性質に変化がおこり,引張応力の存在下でもろくなる現象を指す。一般に金属の水素脆化には,溶解した水素原子が応力による変形に伴って結晶内部で移動することを原因とする拡散型水素脆化と,水素化物の析出が原因となる析出型水素脆化があるが,鋼の場合は前者の拡散型であり,常温付近で最も感受性が高くなる。…

※「水素脆性」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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