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脚絆 きゃはん

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

脚絆
きゃはん

長時間の歩行,労働,防寒,保護などのためにすねに着ける衣。別名脛巾 (はばき) ともいい,脛穿 (はぎはき) の略である。大津脚絆江戸脚絆筒脚絆などがある。『貞丈雑記』に「大口,ひたたれなど着する時はきゃはんをはくべし,赤ずねの見ゆるに尾籠なる由条々聞書に見えたり,四幅袴の時は,なお以てきゃはんをはく也,ひたたれの時はしゅのきゃはん用ふる由,走衆故実に見えたり」とある。また『和名抄』の行旅具の条にいちび脛巾の名がある。これは『太平記』巻 13に「いちびはばきに乱れ緒をはいて」とみえるもので,イチビの皮でつくった脚であり,従者らが用いた。軍装用にも用いられたことは『軍用記』に「臑当の下にはくなり,地は繻子なり,…裏は絹にても布にても縫ふべし,…緒は長さ二尺六寸許,人のすねの大小によるべし」とある。日本の軍隊で用いられたゲートルも,脚絆,巻脚絆と呼ばれた。

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デジタル大辞泉の解説

きゃ‐はん【脚×絆/脚半】

旅行・作業などのときに、すねに着けて足ごしらえとした紺木綿などの布。はばき。「手甲(てっこう)―」
巻き脚絆」に同じ。

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百科事典マイペディアの解説

脚絆【きゃはん】

防寒,保護または活動を便利にするためすねにつけるもので,脛巾(はばき)に代わって室町時代からこの語が用いられ,もっぱら布製のものをさすようになった。紺木綿に浅黄裏をつけたものが多く,方形または扇形の布の上下にひもをつけた大津脚絆,すねに合わせて裁ち,上部にひも,背部こはぜをつけた江戸脚絆,円筒形で上部にひもをつけた筒脚絆などがある。

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世界大百科事典 第2版の解説

きゃはん【脚絆】

労働や歩行の際,脛(すね)を保護し,動きやすくするためにつける服装品の一つで,広狭2義ある。古く平安時代には脛につける服装品の総称として〈はばき(脛巾)〉という語が行われていたが,室町時代になると〈きゃはん(脚巾,脚絆,脚半)〉という語があらわれ,江戸時代以降は脚絆が総称として用いられるようになった。脛巾と脚絆の区別は,一般的には,脛巾は稲わら,ガマ,イグサなどでつくられたもの,脚絆は主として布製のものとされるが,現在では地域によっては脛巾と脚絆の両方の語が用いられ,現物も混同しているようである。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

脚絆
きゃはん

労働、旅、防寒のために脛(けい)部にあてて用いるもの。紺木綿でつくられる。女性が四国巡礼などに出向くおりは、白木綿が用いられる。男性も山岳信仰の場合は清浄を重んじて白である。室町時代の絵巻『慕帰絵詞(ぼきえことば)』のなかで、小者(こもの)が着装している図が古い例であろう。江戸時代には、大津脚絆、江戸脚絆、筒脚絆の3種があった。大津脚絆は脛巾(はばき)のようにつくり、脚絆の上部と下部に絎(く)け紐(ひも)をつけて結ぶ。江戸脚絆は布を脛部に当てて裁断し、留め具は上部を絎け紐、ふくらはぎをこはぜ掛けとしたものである。筒脚絆は、京都のほか修験道(しゅげんどう)、狂言などに用いられ、円筒形に仕立てて、上部、下部を絎け紐としたものである。脚絆は長い旅で、脚が疲れるのを防ぐ意味をもっており、明治以降も旧陸軍では革脚絆がつくられ、学生の間でも通学や修学旅行に用いたところもある。[遠藤 武]

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世界大百科事典内の脚絆の言及

【脛巾】より

…また《延喜式》では蒲脛巾あるいは脚纏,緋脛巾の類が近衛府の武官に用いられていたようである。室町時代から脚絆(きやはん)の語があらわれ,江戸時代に入ると脛巾と脚絆が併用され,あるときは混同されていたようである。江戸時代の《和漢三才図会》や《嬉遊笑覧》には脛巾の確たる説明がなく,脚絆のみ見られる。…

※「脚絆」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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