デジタル大辞泉
「膾」の意味・読み・例文・類語
なます【×膾/×鱠】
古くは、魚・貝・獣などの生肉を細かく刻んだもの。のちに、魚・貝や野菜などを刻んで生のまま調味酢であえた料理をさす。
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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なます【膾・鱠】
- 〘 名詞 〙
- ① 魚介や獣などの生肉を細かく切ったもの。
- [初出の実例]「猟場(には)の楽は膳夫(かしはて)をして鮮(ナマス)を割らしむ」(出典:日本書紀(720)雄略二年一〇月(前田本訓))
- ② 魚・貝・肉・野菜などをきざんで、二杯酢・酢みそ・いり酒などで調味した料理。〔観智院本名義抄(1241)〕
- ③ ( ダイコンとニンジンなどの野菜の膾に魚・貝などを加えることを膾の子、すなわち、膾の「子を入れる」といったのにかけて ) 男女が交合することをいう。情交。
- [初出の実例]「交戦(まじはる)曰レ茶。今又曰レ膾(ナマス)」(出典:洒落本・史林残花(1730)芸文志)
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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普及版 字通
「膾」の読み・字形・画数・意味
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
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膾 (なます)
鱠とも書く。《和名抄》が〈細切肉也〉としているように,古くは生の魚貝類や鳥獣肉を細切りにしただけのものをいった。《日本書紀》景行天皇53年8月条などに名が見られ,〈羹(あつもの)〉とともに最も古い調理法といえる。室町期になると,山吹なます,卯の花(うのはな)なます,雪なます,笹吹(ささぶき)なます,その他多くの種類が登場する。山吹なますはカレイの肉にその卵をいってまぶしたもの,卯の花なますはぬた(酒かすにからしを加えたもの)であえたもの,雪なますは魚の上におろしダイコンを盛ったもの,笹吹なますはダイコンの笹がきを加えたもので,いずれもふつうは酢をかけて供した。刺身がなますから分化するのは室町中期ごろのことで,細切りのものを合せ酢であえた物をなます,なますよりも大きく切り,タデ酢,ショウガ酢,煎酒(いりざけ)などの調味料を別器で添えるのを刺身と呼ぶようになった。現在では酢の物の呼称が一般的で,なますの名はわずかにダイコンとニンジンのせん切りを材料とする紅白なます,それに干柿を加えた柿なますなどに残るだけとなった。また,地方によってはアジなどの肉をみそとともにミンチ状にたたいたものを沖なます,たたきなますと呼ぶこともある。
執筆者:鈴木 晋一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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膾【なます】
鱠とも書く。酢の物の一種。日本の古い調理法で,生肉(なましし)のつまった語といい,古くは鳥獣肉の膾,魚介肉の鱠があった。現在は魚介肉,野菜が主で,細かく切り,三杯酢,酢みそ,たで酢,醤(ひしお),からし酢,いり酒酢などであえ,生で食べる。ダイコンとニンジンのダイコン膾,アユのいかだ膾,タイやカレイの卵をいり酒でいり,作り身にまぶしつける山吹膾,ひな祭につくるアサツキ膾など。
→関連項目刺身
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
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