臈纈(読み)ろうけち

百科事典マイペディア 「臈纈」の意味・わかりやすい解説

臈纈【ろうけち】

蝋を防染剤とした模様染。飛鳥奈良時代中国から伝えられた技法で,正倉院などには,版木で模様を彫り蝋をつけて押して地染した裂(きれ)が残されている。奈良時代以後長くとだえたが,20世紀になって蝋纈(ろうけつ)染として復活した。
→関連項目【きょう】纈纐纈染物

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「臈纈」の意味・わかりやすい解説

臈纈
ろうけち

染織用語。「ろうけつ」とも読み,蝋纈とも書く。またろうけつ染ともいう。東南アジア産のものを特にバティックという。ろうまたは樹脂を防染剤として模様を染め出す技法。ろうなどの掛かった部分には染料がつかないで,生地の色がそのまま残り,他の部分が染まる。ろうなどの防染剤を筆で描いて模様をつける方法と,型につけて織布皮革に移す方法との2方法に大別される。日本にはインドから中国を経て渡来し,飛鳥~奈良時代に盛んに行われたが,その後長くとだえ,大正期に復興し,現代にいたっている。西洋の臈纈は,西洋人の東漸が激しくなって,東洋織物が大きな流行を示した 17世紀頃にマレーのろうけつ染が入ったが,技術はやや遅れて 18世紀頃から始った。

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