臈纈(読み)ろうけち

精選版 日本国語大辞典 「臈纈」の意味・読み・例文・類語

ろう‐けちラフ‥【臈纈・蝋纈】

  1. 〘 名詞 〙 七~八世紀に大陸から伝来した文様染めの一種布帛に蝋で文様を置いて防染し、浸染によって文様を表わしたもの。文様は凸型で押したものが多い。奈良時代に盛んに行なわれたが平安中期以後その技術廃絶
    1. [初出の実例]「一斑竹床子象牙為足、在蝋結褥」(出典:大和法隆寺文書‐天平宝字五年(761)法隆寺縁起并資財帳)

ろう‐けつラフ‥【臈纈・蝋纈】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ろうけち(臈纈)
  3. ろうけつぞめ(臈纈染)

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百科事典マイペディア 「臈纈」の意味・わかりやすい解説

臈纈【ろうけち】

蝋を防染剤とした模様染。飛鳥・奈良時代に中国から伝えられた技法で,正倉院などには,版木で模様を彫り蝋をつけて押して地染した裂(きれ)が残されている。奈良時代以後長くとだえたが,20世紀になって蝋纈(ろうけつ)染として復活した。
→関連項目【きょう】纈纐纈染物

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「臈纈」の意味・わかりやすい解説

臈纈
ろうけち

染織用語。「ろうけつ」とも読み,蝋纈とも書く。またろうけつ染ともいう。東南アジア産のものを特にバティックという。ろうまたは樹脂を防染剤として模様を染め出す技法。ろうなどの掛かった部分には染料がつかないで,生地の色がそのまま残り,他の部分が染まる。ろうなどの防染剤を筆で描いて模様をつける方法と,型につけて織布皮革に移す方法との2方法に大別される。日本にはインドから中国を経て渡来し,飛鳥~奈良時代に盛んに行われたが,その後長くとだえ,大正期に復興し,現代にいたっている。西洋の臈纈は,西洋人の東漸が激しくなって,東洋織物が大きな流行を示した 17世紀頃にマレーのろうけつ染が入ったが,技術はやや遅れて 18世紀頃から始った。

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