改訂新版 世界大百科事典 「航空灯」の意味・わかりやすい解説
航空灯 (こうくうとう)
aircraft exterior light
航行の安全を図るために航空機に装備されている灯火の総称。他機との衝突防止を目的とするものと,自機の運航の利便のためのものに大別され,前者には航法灯,衝突防止灯,後者には着陸灯,ロゴ灯などがある。(1)航法灯navigation light 位置灯position lightともいい,航空機の進行方向を示して,相互の衝突を防止するため,右翼端に緑色,左翼端に赤色灯を,おのおの進行方向の軸線に対し外側に110度に,また尾部には白色灯を後方に140度の角度に装備することが航空法で定められている。尾部灯は通常1個だが2ヵ所につけることがある。(2)衝突防止灯anti-collision light 夜間ばかりでなく昼間でも遠方から識別できるように,航空機の上部と下部に取り付けられている赤色の閃光灯で,最近では白色の高輝度閃光灯が多く用いられるようになった。(3)着陸灯landing light 離着陸時,または地上滑走の際に前方を照らす灯火で,翼の前縁や付け根,前脚などに装備されており,不使用時に引込式になっているものもある。最近,空港周辺の空域では衝突防止,あるいは鳥を避けさせるため,特定の高度以下で昼間でも点灯する場合が多い。(4)ロゴ灯logo light 大型機の尾部に設置して垂直尾翼を照らし,航空会社のマークを識別しやすくするための灯火。このほか,タクシング中に誘導路を照らすタクシー灯,翼面の一部を照らす翼照明灯などもある。なお,ヘリコプターについても同様に航法灯の装備が義務づけられており,翼のない場合はスキッドや胴体の左右の外側に装備する。
執筆者:長野 英麿
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報