落語の演題。《芝浜の革財布》《革財布》ともいう。三遊亭円朝が,〈酔っぱらい,芝浜,革財布〉の三題噺(さんだいばなし)として創作したといわれる。腕のいい魚屋の熊五郎は酒好きのなまけ者。ある朝,芝の浜で42両の大金の入った革財布を拾ってきた。これからは遊んで暮らせると,大喜び,酒を飲んで寝てしまう。翌朝,女房に起こされ仕事へ行けといわれる。女房は夫のためにならないと財布を奉行所へ届け出て,夫には酔って見た夢だといつわった。それから3年,熊五郎は禁酒して商売にはげみ,りっぱな店も持つ。その大みそか,除夜の鐘を聞きながら,奉行所から下げ渡された財布を出して女房は詫びる。女房がきげん直しに酒をすすめると,〈よそう。また夢になるといけねえ〉。
執筆者:興津 要
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
落語。幕末のころ三遊亭円朝(えんちょう)が、酔払(よっぱら)い・芝浜・財布の三題噺(さんだいばなし)としてつくったのが原形。別に『芝浜の革(かわ)財布』『革財布』『金拾い』『馬入(ばにゅう)』などの題名がある。3代・4代三遊亭円生(えんしょう)、4代橘家円喬(たちばなやえんきょう)、初代・2代談洲楼燕枝(だんしゅうろうえんし)、初代三遊亭円右(えんう)などが手がけ、しだいに改良・洗練されて現代に及んでいる。働き者だが大酒飲みのため貧乏な魚屋の勝五郎は、早朝の芝の浜で大金の入った財布を拾う。喜んだ勝五郎は、友だちを集めて大酒盛りのあげく寝てしまう。翌朝、女房に財布などない、それは夢だといわれ、改心した魚勝は禁酒して商売に専念、やがて店をもち、若い衆も2、3人置くようになる。3年目の大晦日(おおみそか)、女房は夢といってだましたことをわび、改めてお上から下げ渡された財布を出す。感激した勝五郎は、女房の勧める酒を口までもってゆくが「よそう、また夢になるといけねえ」。情景描写、人物描写ともに磨き上げられた人情噺の名作で、近年では3代桂三木助(かつらみきすけ)の十八番であった。
[関山和夫]
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