フランスの詩人バレリーの長詩。1917年刊。制作に4年の歳月をかけ、発表とともに、無名の著者を一挙に栄光の座につかせた。厳密な古典詩法による12音綴平韻(おんてつへいいん)512行。とりわけラシーヌと、マラルメ『半獣神の午後』の詩法から多くをくむ。地中海の島で夜明けに夢から覚めた処女パルクが、眠りのなかで自分を襲った夢の胸苦しさを出発点として、自分のそれまでの内的歴史、意識的純潔さを守ろうとする姿勢と官能のうずきとの相克を振り返って再生を図るが、狂乱状態に陥り、投身自殺を図るものの果たさず、日の出を迎える。回想、妄想、想像などの交錯する複雑な時間をはらんだ独白として歌う。澄明なイメージと豊かな音楽性、さらに官能美あふれるこの作品は、象徴詩の一極致といわれる。
[清水 徹]
『鈴木信太郎訳『若きパルク』(『ヴァレリー詩集』所収・岩波文庫)』
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…また自己の理想像をめぐって《レオナルド・ダ・ビンチの方法への序説》(1895),小説《テスト氏との一夜La soirée avec Monsieur Teste》(1896)を書くが,しだいに文学から遠ざかり自分だけのための思索にふける。 ふとした偶然から詩作を再開,4年間の営為から生まれた長詩《若きパルクLa jeune Parque》(1917)はマラルメの流れを汲む象徴詩の一極致と見なされ,一躍名声を獲得。詩集《魅惑》(1922),対話編《エウパリノス》(1921),《固定観念》(1932)などを次々と発表し,1925年アカデミー会員に選ばれ,あたかもフランスの公的な知的代表のようにしてヨーロッパ各地で講演を行う。…
※「若きパルク」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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