若きパルク(読み)ワカキパルク(英語表記)La jeune Parque

デジタル大辞泉 「若きパルク」の意味・読み・例文・類語

わかきパルク【若きパルク】

原題、〈フランスLa Jeune Parqueバレリーの詩。伝統的な韻律アレクサンドランで書かれた約500行の長編韻文詩。1917年、文芸誌「N.R.F.(新フランス評論)」に発表されたものが初出で、完成までに約5年を費やした。本作により著者時代寵児ちょうじとなった。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「若きパルク」の意味・わかりやすい解説

若きパルク
わかきぱるく
La jeune Parque

フランスの詩人バレリーの長詩。1917年刊。制作に4年の歳月をかけ、発表とともに、無名の著者を一挙に栄光の座につかせた。厳密な古典詩法による12音綴平韻(おんてつへいいん)512行。とりわけラシーヌと、マラルメ『半獣神の午後』の詩法から多くをくむ。地中海の島で夜明けに夢から覚めた処女パルクが、眠りのなかで自分を襲った夢の胸苦しさを出発点として、自分のそれまでの内的歴史、意識的純潔さを守ろうとする姿勢と官能のうずきとの相克を振り返って再生を図るが、狂乱状態に陥り、投身自殺を図るものの果たさず、日の出を迎える。回想、妄想、想像などの交錯する複雑な時間をはらんだ独白として歌う。澄明なイメージと豊かな音楽性、さらに官能美あふれるこの作品は、象徴詩の一極致といわれる。

清水 徹]

『鈴木信太郎訳『若きパルク』(『ヴァレリー詩集』所収・岩波文庫)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「若きパルク」の意味・わかりやすい解説

若きパルク
わかきパルク
La jeune Parque

フランスの詩人,批評家ポール・バレリーの長詩。 1917年刊。海辺乙女の独白という形式をとった,一連の意識変化の精妙な描写から成り,20世紀前半におけるフランス抒情詩の最高傑作に数えられている。 1896年『テスト氏との一夜』を発表以後,「曖昧な文学」と決別し,二十余年の間,孤独な思索と探究の生活をおくっていたバレリーの文学復帰第1作として注目される。

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世界大百科事典(旧版)内の若きパルクの言及

【バレリー】より

…また自己の理想像をめぐって《レオナルド・ダ・ビンチの方法への序説》(1895),小説《テスト氏との一夜La soirée avec Monsieur Teste》(1896)を書くが,しだいに文学から遠ざかり自分だけのための思索にふける。 ふとした偶然から詩作を再開,4年間の営為から生まれた長詩《若きパルクLa jeune Parque》(1917)はマラルメの流れを汲む象徴詩の一極致と見なされ,一躍名声を獲得。詩集《魅惑》(1922),対話編《エウパリノス》(1921),《固定観念》(1932)などを次々と発表し,1925年アカデミー会員に選ばれ,あたかもフランスの公的な知的代表のようにしてヨーロッパ各地で講演を行う。…

※「若きパルク」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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