新撰 芸能人物事典 明治~平成 「若山富三郎」の解説
若山 富三郎
ワカヤマ トミサブロウ
- 職業
- 俳優
- 本名
- 奥村 勝(オクムラ マサル)
- 別名
- 別名=城 健三郎
- 生年月日
- 昭和4年 9月1日
- 出生地
- 東京市 深川区(東京都 江東区)
- 学歴
- 日大三中卒
- 経歴
- 長唄三味線方・杵屋勝東治の長男で、弟は勝新太郎。日大三中在学中は柔道に打ち込み、1年生で3回も落第するという破天荒な生活を送る。戦後は父のもとで長唄を修業し、さらに和歌山富十郎に師事して若山富三郎を名乗った。のち菊五郎劇団邦楽部に入り、長唄をやる傍ら、坂東八重之助に殺陣を習うが、間もなく歌舞伎界に不満を感じ退団。29年父や弟と吾妻徳穂のアズマカブキに参加し渡米。同年帰国後、新東宝に入社して映画界に身を投じ、「忍術児雷也」でデビュー。当初から破格の待遇を受け、デビュー3作目の30年「隠密若衆」では早くも主役に抜擢され、以降も「番場の忠太郎」「男一匹」「江戸っ子金さん捕物帳」「人形佐七捕物帖」など時代劇を中心に白塗りの二枚目として活躍した。34年東映を経て、37年大映に移籍し、城健三郎に改名。弟ともしばしば共演。やがてキャラクターの転換を図り、41年東映に復帰。芸名を若山富三郎に戻してからは、〈極道〉シリーズ、〈前科者〉シリーズ、〈極悪坊主〉シリーズ、〈緋牡丹博徒〉シリーズなど、主に同社のやくざ映画に出演。狂暴だが貫禄と魅力を具えたワルを演じ、大スターとして目されるようになった。47年弟の主宰する勝プロで製作された「子連れ狼・子を貸し腕貸しつかまつる」で演じた“子連れ狼”拝一刀が好評を博し、以後、49年まで6作が製作されるヒットシリーズとなる。また、自身の原作・製作・主演による48年の「桜の代紋」の他、「日本悪人伝」「悪魔の手毬唄」「陰獣」などに出演。テレビでは53年、弁護士に扮したNHK「事件」の好演が絶賛を受けた。同年米国映画「がんばれベアーズ」に出演。舞台にも積極的で、蜷川幸雄の「三文オペラ」「アニー」などの他、53年河内山宗俊を演じた新宿コマ劇場の「歌舞伎模様・天保六花撰」で芸術祭大賞を受賞。54年には木下恵介監督「衝動殺人・息子よ」で、キネマ旬報主演男優賞をはじめとして各種主演男優賞を独占した。58年心筋梗塞で倒れるが、闘病生活を送りながらも「修羅の群れ」「山下少年物語」「社葬」「女帝春日局」などの映画に出演し、平成元年のリドリー・スコット監督による米国映画「ブラック・レイン」ではマイケル・ダグラス、高倉健、松田優作らを向こうに回し、独自の存在感をみせた。2年頃から糖尿病が悪化し、4年にはペースメーカーを埋め込むなど、晩年は満身創痍であった。同年4月勝新太郎・中村玉緒夫妻や清川虹子と会食中に急死した。
- 受賞
- ブルー・リボン賞助演男優賞(第20回・昭和52年度)「姿三四郎」「悪魔の手鞠唄」,芸術祭大賞(第33回)〔昭和53年〕,キネマ旬報賞主演男優賞(昭54年度),ブルーリボン賞主演男優賞(昭54年度) 毎日映画コンクール主演男優賞(昭54年度)「衝動殺人・息子よ」
- 没年月日
- 平成4年 4月2日 (1992年)
- 家族
- 娘=友 加代子(女優),息子=若山 騎一郎(俳優),父=杵屋 勝東治(長唄三味線方),弟=勝 新太郎(俳優)
- 親族
- 義妹=中村 玉緒(女優),姪=奥村 真粧美(女優),甥=鴈 龍太郎(俳優)
- 伝記
- おこりんぼさびしんぼ―若山富三郎・勝新太郎 無頼控不器用に生きた男 わが父若山富三郎星を喰った男殺陣―チャンバラ映画史男優女優の昭和誌映画極道(スクリーンマフィア)物語―映画の舞台裏(しかけ)お見せします 山城 新伍 著若山 騎一郎 著潮 健児 著永田 哲朗 著はが やすし 著日本映画助監督協会 編(発行元 廣済堂出版ひらく,ごま書房〔発売〕バンダイ社会思想社人間の科学社ダイナミックセラーズ ’08’98’93’93’92’88発行)
出典 日外アソシエーツ「新撰 芸能人物事典 明治~平成」(2010年刊)新撰 芸能人物事典 明治~平成について 情報