日本大百科全書(ニッポニカ) 「荒井郁之助」の意味・わかりやすい解説
荒井郁之助
あらいいくのすけ
(1835―1909)
測地学者、気象官僚。諱(いみな)は顕徳。江戸に生まれ、昌平黌(しょうへいこう)に学んだ。幕府に仕えて軍艦操練所頭取、講武所取締役、歩兵頭を歴任、1867年(慶応3)海軍奉行となった。1868年(明治1)官軍への恭順を拒否して榎本武揚(えのもとたけあき)らと箱館(はこだて)に走り、五稜郭(ごりょうかく)にあって官軍と戦ったが、敗れて獄に下った。1872年許されて開拓使出仕となり、札幌農学校創設や測地などにあたり、1877年には内務省地理局に奉職、同年測量課長となった。1887年8月19日、新潟において日本最初の科学的な皆既日食観測を行い、1890年中央気象台が独立すると、その初代台長となった。翌1891年退官し、以後は榎本武揚らと浦賀ドックの創設にあたった。
[根本順吉]