菊酒(読み)キクザケ

デジタル大辞泉 「菊酒」の意味・読み・例文・類語

きく‐ざけ【菊酒】

菊の花を浸した酒。また、重陽ちょうよう節句9月9日)に飲む酒。菊の酒。菊花の酒。 秋》
みりん一種。菊の花を煮付けた汁を用いて造ったもので、肥後加賀名産。菊の酒。

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精選版 日本国語大辞典 「菊酒」の意味・読み・例文・類語

きく‐ざけ【菊酒】

〘名〙
① 菊の花を浸して飲む酒。また、重陽節供の際に用いる酒。菊の酒。菊花の酒。《季・秋》
延喜式(927)一三「凡九月九日平旦。供奉菊酒
※俳諧・毛吹草(1638)六「菊酒(キクザケ)の下戸と上戸は淵瀬哉〈秀重〉」
② 加賀(石川県南部)でつくられた名物の酒。菊水
※杜詩続翠抄(1439頃)一二「聞道雲安麹米春、加賀の菊酒と云様に。纔傾一即醺人」

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普及版 字通 「菊酒」の読み・字形・画数・意味

【菊酒】きくしゆ

菊の花や茎葉を加えた酒。唐・権徳輿〔嘉興九日、丹陽親故に寄す〕詩 露、衣冷(ひや)やかに 山風酒香し

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飲み物がわかる辞典 「菊酒」の解説

きくざけ【菊酒】


➀重陽(ちょうよう)の節句(陰暦9月9日)に飲む、菊の花を浸した酒。厄除け不老長寿を願って飲むならわしがあった。
➁加賀(石川県の旧国名)でつくられた名酒。◇名称由来には、石川県南部を流れる手取川、あるいは金沢市を流れる犀川の水源近くに菊の咲く地があった、霊峰白山の神体が「菊理媛(くくりひめ)」であることから、などの説がある。

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世界大百科事典(旧版)内の菊酒の言及

【重陽】より

…菊花宴ともいい,685年(天武14)を起源とするが,嵯峨天皇のときには,神泉苑に文人を召して詩を作り,宴が行われていることが見え,淳和天皇のときから紫宸殿で行われた。菊は霊薬といわれ,延寿の効があると信じられ,この日,菊酒を飲むことも行われた。また,茱萸(しゆゆ)(カワハジカミ)の袋を柱に菊とともにつけ,悪気を払う風習もあった。…

【リキュール】より

…日本でも古くからこの種の酒があった。正月のとそや重陽の菊酒などは平安期から行われ,江戸時代には白酒やみりんのほか,清酒や焼酎に果実,薬草その他を浸漬(しんし)して多くの種類がつくられた。《本朝食鑑》(1695)には忍冬(にんどう)酒以下16種が挙げられており,その中にはマムシ酒も見られる。…

【重陽】より

…菊花宴ともいい,685年(天武14)を起源とするが,嵯峨天皇のときには,神泉苑に文人を召して詩を作り,宴が行われていることが見え,淳和天皇のときから紫宸殿で行われた。菊は霊薬といわれ,延寿の効があると信じられ,この日,菊酒を飲むことも行われた。また,茱萸(しゆゆ)(カワハジカミ)の袋を柱に菊とともにつけ,悪気を払う風習もあった。…

※「菊酒」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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