蒲団・布団(読み)ふとん

精選版 日本国語大辞典 「蒲団・布団」の意味・読み・例文・類語

ふ‐とん【蒲団・布団】

[1] 〘名〙 (「ふ」「とん」は、それぞれ「蒲」「団」の唐宋音)
① 蒲(がま)の葉で編んだ円座。また、蒲の穂またはパンヤなどを布で包み円形に作ったもの。坐禅などに用いる。
※正法眼蔵(1231‐53)坐禅儀「蒲団は全跏にしくにはあらず、跏趺の半よりはうしろにしくなり」
② 座蒲団のこと。
※多聞院日記‐天正二〇年(1592)三月二八日「夜寒の由申間、ふとんを遣了」 〔許渾‐送惟素上人帰新安詩〕
③ 中に綿・鳥の羽毛・わらなどを入れ、布地で縫いくるんだ寝具。敷き蒲団・掛け蒲団・かいまきの類。夜具。夜着。ふすま。《季・冬》
※俳諧・毛吹草(1638)二「蒲団(フトン)敷」
※俳諧・俳諧古選(1763)四「蒲団着て寝たる姿や東山〈嵐雪〉」
[2] (蒲団) 小説。田山花袋作。明治四〇年(一九〇七)発表。中年の文学者竹中時雄の内弟子横山芳子に対する恋情と嫉妬の心理を赤裸々に描く。私小説の最初と目され、後の自然主義文学に影響を与えた。

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